陣太鼓(読み)ジンダイコ

デジタル大辞泉 「陣太鼓」の意味・読み・例文・類語

じん‐だいこ〔ヂン‐〕【陣太鼓】

戦場で、軍勢進退合図に打ち鳴らした太鼓戦鼓
[類語]陣鐘攻め太鼓

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精選版 日本国語大辞典 「陣太鼓」の意味・読み・例文・類語

じん‐だいこヂン‥【陣太鼓】

  1. 陣太鼓〈山梨県善光寺〉
    陣太鼓〈山梨県善光寺〉
  2. 〘 名詞 〙 昔、戦場で、軍勢の進退を知らせるために鳴らした太鼓。掛かり太鼓。押し太鼓。戦鼓(せんこ)
    1. [初出の実例]「ヤアヤア陣所の諸軍ども、鉄炮、火矢の用意せよと、撥追取って、陣太鼓、乱調に打ち立てれば」(出典:浄瑠璃・近江源氏先陣館(1769)七)

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「陣太鼓」の意味・わかりやすい解説

陣太鼓
じんだいこ

軍陣で、軍勢の進退を指示し、士気を鼓舞するために打った太鼓。軍鼓。古代より、鉦(かね)とともに用いられ、奈良時代、軍防令(ぐんぼうりょう)には、各軍団ごとに角笛とともに鼓(太鼓)2面を置くと規定され、また即位式の式官の陣の参集の合図に用いられた。『前九年合戦絵巻』にも描かれ、中世の戦記物語には、太鼓の乱声(らんじょう)とか攻め鼓という記述がみえる。しかし実際の普及は、組織的に集団を指揮する戦法を必要とした戦国時代からであろう。連尺(れんじゃく)(背負い梯子(ばしご))などで携帯し、『長篠合戦図屏風(ながしのかっせんずびょうぶ)』などの合戦図に、背負った陣太鼓を打つようすが描かれている。しかし陣太鼓という語は古い文献になく、その制とともに近世に成立したと思われる。同時に軍学者により種々な打ち方も唱えられたが、本来はさほど複雑なものではなかったのであろう。引き太鼓、掛り太鼓、押し太鼓などは、その合図の打ち方の呼称である。

[齋藤愼一]

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世界大百科事典(旧版)内の陣太鼓の言及

【太鼓】より

…特殊なものに,沖縄で用いられるタンバリン状の片面太鼓である〈パーランクー〉や,青森の〈えんぶり〉などで用いる〈銭太鼓(ぜにだいこ)〉の一種などがあるが,銭太鼓には太鼓類と認められないものまで含められる。 そのほか,戦陣などで,法螺貝などとともに,軍楽器の一つとして用いられるものは,〈陣太鼓(じんだいこ)〉と称し,その種類もさまざまであって,奏法にもいろいろな流派があったが,現在では民俗芸能に遺存するのみである。街頭宣伝の〈チンドン屋〉が,鉦(かね)と組み合わせて用いる太鼓は,本来は平丸太鼓であったが,最近では救世軍の大太鼓などを転用することもある。…

※「陣太鼓」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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