軍陣で、軍勢の進退を指示し、士気を鼓舞するために打った太鼓。軍鼓。古代より、鉦(かね)とともに用いられ、奈良時代、軍防令(ぐんぼうりょう)には、各軍団ごとに角笛とともに鼓(太鼓)2面を置くと規定され、また即位式の式官の陣の参集の合図に用いられた。『前九年合戦絵巻』にも描かれ、中世の戦記物語には、太鼓の乱声(らんじょう)とか攻め鼓という記述がみえる。しかし実際の普及は、組織的に集団を指揮する戦法を必要とした戦国時代からであろう。連尺(れんじゃく)(背負い梯子(ばしご))などで携帯し、『長篠合戦図屏風(ながしのかっせんずびょうぶ)』などの合戦図に、背負った陣太鼓を打つようすが描かれている。しかし陣太鼓という語は古い文献になく、その制とともに近世に成立したと思われる。同時に軍学者により種々な打ち方も唱えられたが、本来はさほど複雑なものではなかったのであろう。引き太鼓、掛り太鼓、押し太鼓などは、その合図の打ち方の呼称である。
[齋藤愼一]
…特殊なものに,沖縄で用いられるタンバリン状の片面太鼓である〈パーランクー〉や,青森の〈えんぶり〉などで用いる〈銭太鼓(ぜにだいこ)〉の一種などがあるが,銭太鼓には太鼓類と認められないものまで含められる。 そのほか,戦陣などで,法螺貝などとともに,軍楽器の一つとして用いられるものは,〈陣太鼓(じんだいこ)〉と称し,その種類もさまざまであって,奏法にもいろいろな流派があったが,現在では民俗芸能に遺存するのみである。街頭宣伝の〈チンドン屋〉が,鉦(かね)と組み合わせて用いる太鼓は,本来は平丸太鼓であったが,最近では救世軍の大太鼓などを転用することもある。…
※「陣太鼓」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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