陽炎の(読み)カギロイノ

デジタル大辞泉 「陽炎の」の意味・読み・例文・類語

かぎろい‐の〔かぎろひ‐〕【陽炎の】

[枕]春、炎のように立つかげろうの意から、「春」「燃ゆ」にかかる。
奈良の都は―春にしなれば」〈・一〇四七〉

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精選版 日本国語大辞典 「陽炎の」の意味・読み・例文・類語

かげろう‐の かげろふ‥【陽炎の】

陽炎が立つ小野の意で、地名「小野」にかかる。→かぎろいの
※続千載(1320)雑上・一七九二「かげろふの小野の草葉の枯れしより有るかなきかと問ふ人もなし〈土御門院〉」
② 「岩垣淵」にかかる。万葉集に「たまかぎる」という枕詞があり、これが「珠蜻」「玉蜻蜒」などと書かれているところから、中世「かげろふの」と誤読されており、これを模倣して作られたもの。→たまかぎる
※続古今(1265)恋一・九七二「乱るとも人知るらめやかげろふの岩垣淵の底の玉藻は〈平政村〉」
③ ②から転じて、「石」にもつづく。
※謡曲・定家(1470頃)「まことの姿はかげろふの石に残す形だにそれとも見えぬ蔦葛

かぎろい‐の かぎろひ‥【陽炎の】

① かげろうは春によく見られるところから「春」にかかる。
万葉(8C後)六・一〇四七「奈良の都は 炎乃(かぎろひノ) 春にしなれば 春日山 三笠野辺桜花 木のくれがくり かほ鳥は 間なくしば鳴く」
② かげろうがもえるように心がもえるの意で、「心燃(も)ゆ」にかかる。
※万葉(8C後)九・一八〇四「春鳥の 音(ね)のみ泣きつつ 味さはふ 宵昼知らず 蜻蜒火之(かぎろひの) 心燃えつつ 歎く別れを」

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