かげろう‐の かげろふ‥【陽炎の】
枕
※続
千載(1320)雑上・一七九二「かげろふの小野の
草葉の枯れしより有るかなきかと問ふ人もなし〈土御門院〉」
② 「
岩垣淵」にかかる。
万葉集に「たまかぎる」という
枕詞があり、これが「珠蜻」「玉蜻蜒」などと書かれているところから、
中世「かげろふの」と誤読されており、これを模倣して作られたもの。→
たまかぎる。
※続
古今(1265)恋一・九七二「乱るとも人知るらめやかげろふの岩垣淵の底の
玉藻は〈平政村〉」
③ ②から転じて、「石」にもつづく。
※謡曲・定家(1470頃)「まことの姿はかげろふの石に残す形だにそれとも見えぬ
蔦葛」
かぎろい‐の かぎろひ‥【陽炎の】
枕
①
かげろうは春によく見られるところから「春」にかかる。
※
万葉(8C後)六・一〇四七「
奈良の都は 炎乃
(かぎろひノ) 春にしなれば
春日山 三笠の
野辺に
桜花 木のくれがくり かほ鳥は 間なくしば鳴く」
② かげろうがもえるように心がもえるの意で、「心燃(も)ゆ」にかかる。
※万葉(8C後)九・一八〇四「
春鳥の 音
(ね)のみ泣きつつ 味さはふ 宵昼知らず 蜻蜒火之
(かぎろひの) 心燃えつつ 歎く別れを」
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報
デジタル大辞泉
「陽炎の」の意味・読み・例文・類語
かぎろい‐の〔かぎろひ‐〕【陽=炎の】
[枕]春、炎のように立つかげろうの意から、「春」「燃ゆ」にかかる。
「奈良の都は―春にしなれば」〈万・一〇四七〉
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