明治初・中期の文体の一つ。坪内逍遙(しょうよう)の『小説神髄』に、「稗史(よみほん)体は、地の文を綴(つづ)るには雅言七八分の雅俗折衷の文を用ひ、詞(ことば)を綴るには雅言五六分の雅俗折衷文を用ふ」などとあるように、地の文を、擬古文とよばれる平安時代の和歌や仮名文を基調とする雅文(文語体)で書き、会話の部分を江戸時代以降の日常的・実用的な俗文(口語体)で書く。雅俗折衷体という用語が成立するのは明治時代になってからであるが、その先駆は早く井原西鶴(さいかく)や近松門左衛門の作品にみられ、比喩(ひゆ)や陰影に富んだ文章表現法として、今日の文章作法にも影響を及ぼしている点が注目される。
[宇田敏彦]
貨幣 (名目) 賃金額を消費者物価指数でデフレートしたもので,基準時に比較した賃金の購買力を計測するために用いられる。こうしたとらえ方は,名目賃金の上昇が物価の上昇によって実質的には減価させられている...