改訂新版 世界大百科事典 「電気雷管」の意味・わかりやすい解説
電気雷管 (でんきらいかん)
electric detonator
電気的に点火させる装置を管内に内蔵した雷管。基本的なものは瞬発電気雷管で,発破器から脚線を通して2A程度の電流を通ずると,白金線が加熱され点火玉が発火する(図a)。この熱で起爆薬が爆発し,添装薬を爆発させ,この爆ごう(轟)衝撃によってダイナマイト等の爆薬を起爆する。トンネル掘進発破やベンチ発破のような近代的な発破技術では発破の精度および効率を上げるために,段発電気雷管が用いられている。段発電気雷管は点火玉と起爆薬との間に延時薬を挟み,点火玉の発火から起爆薬の爆発までに遅れをもたせたものである(図b)。遅れ時間間隔が0.25秒か,0.025秒かによりDS(デシセコンド)段発電気雷管とMS(ミリセコンド)段発電気雷管に分かれている。このほか,瞬発性のとくによい地震探鉱用電気雷管がある。
導火線と併用する工業雷管を用いる発破では導火線点火後逃げて来なければならなかったが,電気雷管を用いる電気発破ではそのような危険性がなく,多数発破が可能で,段発発破などの技術を採用できる。しかし,静電気や迷走電流,雷などによる不時の発火事故も経験され,とくに硝安油剤爆薬の普及によって静電気事故が増し,このため耐静電気雷管が開発され使われるようになってきた。最近では,さらに電流を用いない非電気雷管であるノンネルやハーキュデット(いずれも商標)などが電気雷管に代わって一部で使われるようになってきた。
→導爆線
執筆者:吉田 忠雄
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報