日本大百科全書(ニッポニカ) 「導爆線」の意味・わかりやすい解説
導爆線
どうばくせん
detonating fuse 英語
detonating cord 米語
爆薬を心薬(導火線または導爆線の中央に配置され、燃焼または爆轟(ばくごう)を伝播(でんぱ)する物質)とし、これを繊維、プラスチックまたは金属管で被覆した線状の火工品。一端から起爆することによって他端まで爆轟を伝えることができる。日本には2種の導爆線がある。第1種導爆線はピクリン酸をスズ管内に溶填(ようてん)し、これを標準薬径になるまで引き伸ばしたものである。1960年代にはこの引伸しのできる技能者がいなくなり、つくられなくなった。第2種導爆線はペンスリット(PETN)を心薬としてその上に紙テープ、麻糸、綿糸などで被覆し、さらにアスファルトやプラスチックで被覆したものである。外径5.5ミリメートル、心薬量は1メートル当り約10グラムである。一般用、深海用および爆速測定用がある。平均爆速は毎秒5500メートル以上と規定されているが、実際には毎秒6000~6500メートルの範囲内にある。雷や迷走電流その他の理由で電気発破(はっぱ)が好ましくない所での発破や、ドートリッシュ法(爆速のわかった導爆線と鉛板を用いる方法で、フランスの発明者の名で、このようによばれる)による爆速測定などに用いられる。外国では1970年代以降、心薬のかわりに爆発性混合気を使ったガス導管(ハーキュデット。1972)や、プラスチックパイプの内面に高性能爆薬を塗布した導火管(ノネル。1975)などが開発され使われ始めた。
[吉田忠雄・伊達新吾]