電源開発会社(読み)でんげんかいはつ

改訂新版 世界大百科事典 「電源開発会社」の意味・わかりやすい解説

電源開発[会社] (でんげんかいはつ)

電源開発促進法(1952公布)に基づき1951年に発足した9電力体制(全国を九つのブロックに分け,それぞれ一つの電力会社が電力を独占的に供給する体制)を,大規模電源開発の面で補完するために52年設立された特殊会社。電気事業上は,9電力会社など一般電気事業者に電気を供給する卸電気事業者の一つである。設立当初は,民間電力会社では開発困難な地点や国土総合開発に関連する地点の水力電源を全国にわたって開発した。56年運転開始の佐久間発電所佐久間ダム),61年運転開始の御母衣(みぼろ)発電所(御母衣ダム)では,いずれも当時最新の土木・建設技術が採用された。1960年代に入ると,大型火力発電や後の原子力発電に対応する大型揚水発電力の建設でも先駆的役割を果たした。一方1950~60年代には,エネルギー流体化革命のなかで,国の石炭政策に協力して国内炭火力発電所も建設した。これらのノウ・ハウを生かし,第2次石油危機後には日本で最初の海外炭専用の松島火力発電所(1981運転開始)を長崎県に建設した。また60年からは発展途上国に対し,おもに水力発電の技術協力を行っている。その他,地熱発電,COM(石炭石油混合燃料),ATR新型転換炉)など新技術の開発や実用化にも大きな役割を果たしている。同社の性格は,当初の民間電力会社の補完という面から,海外技術協力や新技術開発に移りつつある。資本金の3分の2が政府出資,残りが9電力会社の出資であったが,2003年民営化して株式会社となり,通称Jパワーとした。04年東証一部に上場青森県大間原子力発電所を建設中である。資本金1524億円(2005年9月),売上高5944億円(2005年3月期)。
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世界大百科事典(旧版)内の電源開発会社の言及

【電源開発】より

…発電のために必要な大規模な施設(水力発電所や火力発電所,原子力発電所)を建設すること。日本の電源開発の歴史は100年になるが,当初の内容は開発というにはほど遠いものであった。1887年に東京電灯会社は最初の発電を行ったが,それは30馬力のボイラーと25kWの直流発電機で発電し,210Vの電圧で1~2kmほどの範囲に送電するものであった。…

【特殊会社】より

第三セクターの一形態である。具体例として,日本たばこ産業株式会社,電源開発株式会社,関西国際空港株式会社,国際電信電話株式会社,日本電信電話株式会社,および旧国鉄の民営化により成立した東日本旅客鉄道株式会社などの各社がある。これらの企業は株式会社ではあるが,特定の行政目的を推進するために特別立法に基づいて設置され,主務官庁の規制を受ける。…

※「電源開発会社」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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