青表紙(読み)アオビョウシ

精選版 日本国語大辞典 「青表紙」の意味・読み・例文・類語

あお‐びょうしあをベウシ【青表紙】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 青い色の表紙。
    1. [初出の実例]「青表帋の金剛経一巻巻本、専識房へ遣之」(出典:多聞院日記‐天正九年(1581)八月二五日)
  3. を持つ書物総称
    1. (イ) 儒学関係の書物。経書(けいしょ)
      1. [初出の実例]「あはれ今年の内に病功〈一鉄〉 青表紙かさなる山を枕もと〈卜尺〉」(出典:俳諧・談林十百韻(1675)上)
    2. (ロ) 源氏物語諸本のうち、藤原定家が書写所持していた本。また、その系統に属する諸本。青表紙本。
      1. [初出の実例]「青表紙源氏物語一部」(出典:延慶両卿訴陳状(1310))
    3. (ハ) 近世、浅葱色の表紙をつけた半紙型の絵本。延享一七四四‐四八)から安永一七七二‐八一)頃にかけて流行した。青本。
      1. [初出の実例]「本箱に入り切らぬ黄表紙、青表紙(アヲベウシ)が」(出典:人でなしの恋(1927)〈江戸川乱歩〉七)
    4. (ニ) 浄瑠璃の稽古本。〔最新百科社会語辞典(1932)〕
    5. (ホ)きびょうし(黄表紙)
      1. [初出の実例]「ちょっと捻(ひねっ)た床花は、わづかに二部の青表紙(アヲヒャウシ)」(出典:黄表紙・嗚呼奇々羅金鶏(1789)叙)
    6. (ヘ) 御仕置例類集の第二集の別称。三一冊。享和三~文化一一年(一八〇三‐一四)の幕府評定所の刑事判決録。
  4. ( (イ) から転じて ) 儒学者。律儀者。また、物知り。
    1. [初出の実例]「物知りの事を青表紙(アヲベウシ)となぐり」(出典:滑稽本・当世真々乃川(1785)二)
  5. ( 形動 ) 堅苦しく、融通のきかないこと。また、そのようなやり方。
    1. [初出の実例]「何事によらず、〈略〉青表紙にて行ものにあらず」(出典:随筆・独寝(1724頃)上)

青表紙の補助注記

(イ)の「談林十百韻」の例は、後句が「一っふしかたる松の夜あらし〈在色〉」となっており、「青表紙」を(ニ) の浄瑠璃の稽古本の意に取りなしている。

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

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