青本(読み)アオホン

デジタル大辞泉 「青本」の意味・読み・例文・類語

あお‐ほん〔あを‐〕【青本】

《「あおぼん」とも》
江戸中期享保ごろから赤本のあとを受けて黒本とともに婦女子の間に流行した草双紙くさぞうしの一。萌葱もえぎ色の表紙であるところからよばれる。絵入りで、内容浄瑠璃歌舞伎軍記物などを翻案・簡略化したもの。
黄表紙のこと。

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精選版 日本国語大辞典 「青本」の意味・読み・例文・類語

あお‐ほんあを‥【青本】

  1. 〘 名詞 〙 ( 「あおぼん」とも ) 近世に行なわれた草双紙の名。赤本と黄表紙との中間にあたり、黒本にやや遅れて、延享一七四四‐四八)頃から安永一七七二‐八一)頃にかけて流行した。萠葱(もえぎ)色の表紙であったところからいう。多くは、歌舞伎、浄瑠璃や歴史、伝記ものなどのあらすじ材料とした絵とき本。五丁を一冊とし、数冊から数十冊を一部とした中本型のもの。また、黄表紙を「青本」と呼んだこともある。
    1. [初出の実例]「近年あをぼんはやり」(出典:黄表紙・御存商売物(1782)上)

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「青本」の意味・わかりやすい解説

青本
あおほん

江戸時代中期に刊行された草双紙一種。延享~安永 (1744~81) 頃に流行。赤本のあとをうけたもので,赤本より成人向き。表紙が萌黄色であるところからの呼称。同様の傾向をもつ同時期のものに黒本があり,両者の間にはほとんど区別がないが,初期から中期にかけては黒本が多く,後期には青本のほうが多い。内容も両者ほぼ同じだが,黒本のほうが青少年向き。絵を中心として書かれ,話の内容は,おとぎ話的なものから,歌舞伎,浄瑠璃集,宗教的なもの,歴史的なもの,仇討ち物,おめでた物などへと展開している。話が複雑になるにつれて黄表紙へ発展,さらに合巻へと成長する。画工の自作物が多く,鳥居清経富川吟雪 (房信) ,観水堂丈阿などが代表的作者

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百科事典マイペディア 「青本」の意味・わかりやすい解説

青本【あおほん】

草双紙の一種。黒本とともに赤本の成長したもの。1700年代の延享・寛延ころから安永ころまで流行。萌黄色(もえぎいろ)表紙。黒本とはほとんど区別がない。代表作は《風流邯鄲浮世栄花枕》《風流仙人花聟》など。やがて黄表紙に展開。

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旺文社日本史事典 三訂版 「青本」の解説

青本
あおほん

江戸中期の草双紙の一つ
表紙は萌黄 (もえぎ) 色(緑色)であるが,現存するものは黄色に変色している。内容は黒本と同様で,浄瑠璃・歌舞伎からとった軍記物・仇討物が主。黒本が成人向きであるのにくらべ,やや若者向き。

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改訂新版 世界大百科事典 「青本」の意味・わかりやすい解説

青本 (あおほん)

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「青本」の意味・わかりやすい解説

青本
あおほん

草双紙

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世界大百科事典(旧版)内の青本の言及

【黒本・青本】より

…上下または上中下,まれに5~10冊で1編を構成する。黒本は黒色表紙,青本はおそらく萌黄色退色の藁色表紙で,意匠のやや進んだ絵題簽(だいせん)を貼付する。内容は2者ほとんど同じで,浄瑠璃の絵解き,英雄一代記,化物話,異類談等,ときに当世風用語も交える。…

※「青本」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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