日本大百科全書(ニッポニカ) 「非価格競争」の意味・わかりやすい解説
非価格競争
ひかかくきょうそう
non-price competition
価格切下げといった価格の差異によるのではなく、それ以外の手段、つまり生産物の差別化によりなされる企業間競争のことで、寡占市場で典型的にみられる。寡占企業は、マーケット・シェアの拡張のために、価格切下げによるライバル企業との価格競争を行うことはまれである。それは、価格競争が製品そのものの同質化傾向やライバル企業の対抗策などによって効果の少ないものとなり、ひいては利潤減少のおそれがあるからである。そして価格競争のかわりに行われるのが非価格競争、つまり生産物の差別化である。代表的な手段としては、宣伝広告(自社製品の他社製品との差異を周知させる)、品質・デザインの差異化(自家用車のモデル・チェンジなど)、販売条件(アフター・サービスや割賦販売など)がある。
[内島敏之]