改訂新版 世界大百科事典 「製品差別化」の意味・わかりやすい解説
製品差別化 (せいひんさべつか)
product differentiation
製品分化ともいわれる。同一の産業に属する企業の製品であっても,さまざまな点で異なっている場合がある。たとえば自動車は,性能,デザイン,イメージなど,さまざまの点で各社の製品は異なっている。このように,ある売手の製品が他の売手の製品と,性質・性能,イメージ,付帯サービス,立地条件などの点で異なっており,他の売手の製品よりも価格が高くてもこの売手の製品を買う買手が存在する場合,製品は差別化されているという。2社の間で製品に実質的な差異がなくとも,買手が異なったものとして意識していれば,製品差別化が存在していることとなる。広告は,そのための重要な手段であり,買手に自社の製品に対する選好をつくりあげ,自社の製品に忠実な買手を育てる役割をもっている。セメント,砂糖などは,各メーカーの製品の間に差異が少なく,差別化の程度が低い。他方,家庭電器製品,食料品などでは,差別化の程度が著しいものが多い。なお,企業が戦略上の政策として,競合する他社製品とことさら差異をもたせていくことを製品差別化政策という。同一企業内の製品でも,こうした政策が採用されることがある。
執筆者:後藤 晃
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報