非正規公務員(読み)ヒセイキコウムイン

デジタル大辞泉 「非正規公務員」の意味・読み・例文・類語

ひせいき‐こうむいん〔‐コウムヰン〕【非正規公務員】

臨時・非常勤職員など非正規雇用形態で任用されている一般職公務員

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「非正規公務員」の意味・わかりやすい解説

非正規公務員
ひせいきこうむいん

国や地方自治体で働く非常勤職員や臨時職員の総称。常勤職以外の職員で、一般職と特別職があり、職種は一般事務、教員司書、保育士、社会福祉分野など多岐にわたる。非正規の国家公務員には、人事院規則、国家公務員法、育児・介護休業法に基づき、雇用期間が1年以下の「期間業務職員」、委員や顧問参与などの「パートタイム職員」、緊急時に6か月以下で雇用する「臨時的任用職員」の3類型がある。非正規の地方公務員には、地方公務員法に基づき、雇用期間が最長1年間の「会計年度任用職員」、専門的な知識・経験をもち助言・調査のみを行う「特別職非常勤職員」、産休などで欠員が生じた場合に雇う「臨時的任用職員」の3類型がある。このうち会計年度任用職員は、週5日勤務のフルタイム職員と、フルタイム職員より勤務時間の短いパートタイム職員に分かれる。国・地方の財政悪化人件費のかさむ正規公務員の削減に伴い、業務に不可欠な人材として非正規公務員は増加傾向にあるが、正規公務員との待遇・雇用条件の格差解消が課題となっている。

 非正規公務員の数は国家公務員で約8万5000人(2022年時点)、地方公務員で約69万人(2020年時点)。とくに北海道夕張(ゆうばり)市の財政破綻(はたん)(2006年)で顕在化した地方財政難から、地方の非正規公務員数は2005年(平成17)の約45万人から1.5倍に急増した。政府は地方公務員法や地方自治法を改正し、採用・任期などを明文化した会計年度任用職員制度の導入(2020年度)や、正規職員と同じボーナス支給規定の導入(2024年度)などに取り組んだ。しかし非正規地方公務員の約8割をパートタイム職員が占めており、正規職員に比べ給与は低く、昇給などを期待しにくいうえ、有期雇用という不安定な状態にある。地方自治を尊重する観点から、非正規公務員の扱いは各地方自治体の判断に任せられており、地方財政の悪化を反映し、非正規職員の待遇・雇用条件の改善が進んでいないのが実態である。

[矢野 武 2023年11月17日]

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