改訂新版 世界大百科事典 「音波探査」の意味・わかりやすい解説
音波探査 (おんぱたんさ)
acoustic exploration
水中の音波源を用いて水底面下を探る一種の地震探査法。一般に,人工的な音源より発する波は水中のみならず地中にも進むが,これが地表に反射あるいは屈折して再びもどって来る現象を利用するものである。音波探査は比較的小さな発震源を用い浅部を調査するものをいうことが多く,深部数千mを対象とする大規模な地震反射法とは技術的に異なる。音源には電気スパーク放電を用いるスパーカーsparker,圧縮空気を水中に放出するエアガンair gunなどのほか,超音波発振器の大エネルギーのものなども用いられ,その種類は多い。水面ではハイドロフォンを用い反射,屈折された波を受振するが,その電気信号は増幅され,記録紙に強度に従って濃淡で表される。またコンピューターなどによるデータ処理を行い,より優れた結果を得ることも可能である。このため磁気テープに記録する方式もある。通常,音源は1個,受振系も1成分であり,観測装置は比較的単純なものが多く全体のシステムも簡単である。反射波を用いるタイプでは反射記録断面から直ちに地下構造を推定できるが,屈折波を用いるものでは屈折波の到達時間から地下構造を解析しなければならない。一方,反射法の一種であるが,水底面に超音波ビームを斜めに当て,その散乱反射を逐次ブラウン管に走査させて表示し,水底面ならびにその近傍を面的に調べるソナーもある。
執筆者:石井 吉徳
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報