家庭医学館 「頸肩腕障害」の解説
けいけんわんしょうがい【頸肩腕障害 Cervicobrachial Disorder】
頸肩腕症候群(けいけんわんしょうこうぐん)(「頸肩腕症候群とは」)に含まれますが、その原因となる病気(胸郭出口症候群(きょうかくでぐちしょうこうぐん)や変形性頸椎症(へんけいせいけいついしょう)など)が不明で、キーパンチャー、タイピストなど打鍵作業(だけんさぎょう)に従事する人に生じる筋肉疲労がもとになっておこる病気で、狭義の頸肩腕症候群、または頸肩腕障害と呼ばれます。
最近では、パソコンの普及によって同じような障害を訴える人が増えています。とくに1日中金銭の整理をする人は、もっぱら左手だけで計算機を操作し、右手で書き留めることが多く、左腕に頸肩腕障害をおこすことが多いようです。
[症状]
同じ姿勢で、同じ筋肉だけを酷使することによって筋肉疲労が蓄積し、作業後もくび、肩、腕にこわばり、しびれ、痛みが強く残った状態です。こうした状態が長く続くと、精神的なイライラから、頭痛、めまい、吐(は)き気(け)、目のかすみなどもまざりあい、いよいよ病状が複雑になることがあります。
[治療]
予防がもっとも重要です。同じ動作をくり返す作業の時間を制限するとか、休息時間を上手に取り入れるなどの工夫がたいせつです。
ラジオ体操のような運動や、ちょっとしたスポーツを取り入れることで、おおいに効果があがります。
治療の原則は休息です。つぎに全身の運動です。
消炎鎮痛薬、筋弛緩薬(きんしかんやく)、温熱療法なども効果があります。
多くの場合、時間をかけて、あせらずに治療すれば回復します。