工夫(読み)クフウ

デジタル大辞泉 「工夫」の意味・読み・例文・類語

く‐ふう【工夫】

[名](スル)
よい方法や手段をみつけようとして、考えをめぐらすこと。また、その方法や手段。「新しい方法を工夫する」
仏道修行などに専念すること。特に禅宗で、座禅に専心すること。
[類語]案出考案創案発案発明一工夫一捻り創意創見編み出す捻り出す

こう‐ふ【工夫】

土木などの工事に従事する労働者
[類語]土工土建屋土方

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「工夫」の意味・読み・例文・類語

く‐ふう【工夫・功夫】

  1. 〘 名詞 〙
  2. いろいろ思案して、よい方法を考え出すこと。あれこれと思いめぐらすこと。また、その方法。手だて。手段。
    1. [初出の実例]「仏子として、道業をばむねとせずして、造営に功夫(クフウ)を入るるは、道人の儀にあたらずこそ」(出典:梵舜本沙石集(1283)八)
    2. 「抑、よき能を上手のせん事、何とて出で来ぬやらんとくふうするに」(出典:風姿花伝(1400‐02頃)六)
    3. [その他の文献]〔韓偓‐商山道中詩〕
  3. ( 作業に従事する人のこと。その一心に努めるさまから転じて ) 一心に仏道修行などに精進努力すること。特に、禅宗では、坐禅に専念することをいう。
    1. [初出の実例]「これ光陰をいたづらにもらさざるによりて、わづかに三箇年の功夫なりといへども、三菩提の正眼を単伝す」(出典:正法眼蔵(1231‐53)行持)
    2. [その他の文献]〔黄庭堅‐再和答為之詩〕

こう‐ふ【工夫】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 昔、家屋建造治水、土木などの労役にあたった人夫。
    1. [初出の実例]「并造宮工夫用度物、仰下諸国、令於長岡宮」(出典:続日本紀‐延暦三年(784)六月壬子)
  3. 鉄道電気ガス水道、土木などの工事に従事する労働者。
    1. [初出の実例]「書生は書を懐にし、工夫は器を担ひ」(出典:花柳春話(1878‐79)〈織田純一郎訳〉三四)

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普及版 字通 「工夫」の読み・字形・画数・意味

【工夫】くふう

工作上の思案をする。〔晋書伝〕江州刺王凝之、上言して曰く、~宗の設け、各品秩り。而るに自ら家を置き、~之れを太に準(なぞら)へ、皆人の力を(と)り、人の居宅を奪ひ、工夫計す。~願はくは、臣の表を出だして太常に下し、之れを禮典に議せしめよと。

字通「工」の項目を見る

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改訂新版 世界大百科事典 「工夫」の意味・わかりやすい解説

工夫 (くふう)
gōng fu

中国の宋明学(朱子学・陽明学)で多用された用語。〈功夫〉と書くこともある。当時の俗語(話し言葉)で,〈時間と労力を使う〉〈手間ひまかける〉の意であるが,宋明学では,完全な人格に至るための実践,修行,勉強,努力などをすべてこの語で表現する。たとえば朱熹は,臨終に際して〈堅苦の工夫をせよ〉と枕元に集まった弟子たちにさとした。なお,禅語で座禅専念の意に使われるほか,現代朝鮮語では〈勉強〉を意味し(コンブと発音),ごく日常的に使われている。また現代中国語では〈ひまがありますか〉というとき,この〈工夫〉が普通に使われる。
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