顰む(読み)ヒソム

デジタル大辞泉 「顰む」の意味・読み・例文・類語

ひそ・む【×顰む/×嚬む】

[動マ四]
口などがゆがむ。
「口―・むも知らず」〈宇津保・忠こそ〉
べそをかく。泣き顔になる。
「背きぬる世の去りがたきやうに、自ら―・み御覧ぜられ給ふ」〈夕顔
[動マ下二]ひそ(顰)める」の文語形

しか・む【×顰む】

[動マ四]顔や額などにしわが寄る。
「―・みたる顔付を見るに及びては」〈鴎外訳・即興詩人
[動マ下二]しかめる」の文語形。

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「顰む」の意味・読み・例文・類語

しか・む【顰・蹙】

  1. [ 1 ] 〘 自動詞 マ行四段活用 〙
    1. 顔や額にしわが寄る。しぶい顔つきになる。しわむ。
      1. [初出の実例]「蹙(しくあつ)は鼻と眉とがあつまってしかうたぞ」(出典史記抄(1477)一二)
      2. 「四辺なる男等の蹙(しか)みたる顔付を見るに及びては」(出典:即興詩人(1901)〈森鴎外訳〉血書)
    2. ( 「しがむ」とも ) 事態の進む方向や人のきげんなどが好ましくない方に変わる。
      1. [初出の実例]「世界のかかる時分、民のしがうた時に独り正ければ危ぞ」(出典:土井本周易抄(1477)五)
    3. 衣類、紙などがしわになる。
      1. [初出の実例]「いづこよりとも、おぼえぬに、なへしかみたる、かり衣姿なる男」(出典:御伽草子・鼠の草子(古典文庫所収)(室町中))
  2. [ 2 ] 〘 他動詞 マ行下二段活用 〙しかめる(顰)

ひそ・む【顰・嚬】

  1. [ 1 ] 〘 自動詞 マ行四段活用 〙
    1. 眉根口元などがゆがむ。顔つきがゆがむ。→くちひそむ
    2. べそをかく。泣き顔になる。
      1. [初出の実例]「ただひそみにひそみ給ひて」(出典:落窪物語(10C後)四)
      2. 「まみのあたりうちしぐれて、ひそみ居たり」(出典:源氏物語(1001‐14頃)若菜上)
  2. [ 2 ] 〘 他動詞 マ行下二段活用 〙ひそめる(顰)

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