荘園,国衙領において,検注使の立入りが免除された土地。馬上免を含め,〈馬上〉〈馬上検田〉〈馬上帳〉など一連の用語は,検注使が騎馬で巡回し,田畠(でんぱく)を検注したことに由来する。このうち馬上帳は10世紀からみえるが,馬上免は仁安元年(1166)度の飛驒国雑物進未注進状(書陵部所蔵中右記部類裏文書)の得永郷の項に〈一段半馬上免〉とあるのが早い例である。元弘3年(1333)12月日の越前大塩八幡宮神主愁状(八幡宮文書)には大塩保鎮守八幡宮神田は〈馬鼻を向けられず馬上免を致す〉とあり,また年未詳安芸国衙領注進状(田所文書)の佐西郡己斐(こい)村(現,広島県広島市西区)の項には〈馬上免七段 新宮免五反 衣波(えば)社免二反〉とみえるので,仏神田がこの特典をうけることが多かったことがわかる。
執筆者:勝山 清次
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
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