駐車場(読み)チュウシャジョウ(英語表記)parking space

デジタル大辞泉 「駐車場」の意味・読み・例文・類語

ちゅうしゃ‐じょう〔‐ヂヤウ〕【駐車場】

自動車をとめておくための特定の場所。

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精選版 日本国語大辞典 「駐車場」の意味・読み・例文・類語

ちゅうしゃ‐じょう ‥ヂャウ【駐車場】

〘名〙 自動車などをとめておく特定の場所。
※日本の下層社会(1899)〈横山源之助〉一「所謂ばんとは一定の駐車場に簇れる一団の株車夫を称す」

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「駐車場」の意味・わかりやすい解説

駐車場
ちゅうしゃじょう
parking space

自動車を駐車させるために設けられた特定の場所。ここで駐車とは、自動車から人が降り、一定時間以上その場所に置いておくことを意味し、乗り降り荷物の積み下ろしのための短時間の停車とは区別する。

 日本では、急激なモータリゼーションの結果として、自動車、とりわけ乗用車の保有台数が大きく伸び、一方では利便性を高めながらも、他方では都市交通の渋滞、交通事故の増加、公害問題の発生などさまざまな問題を引き起こしている。いわゆる青空駐車の問題もその一つで、個別の駐車場とともに都市施設としての駐車場の整備が要望されてきた。これに対応するため1957年(昭和32)には駐車場法が制定されたほか、関連する各種の法律、条例、指導要綱などが整備されてきている。この結果、駐車場の設置件数は急増してきてはいるが、用地、建設費および運営管理費などの問題から、かならずしも十分な整備は行われず、運転者のモラルの低さを反映した不法駐車は後を絶たない。中心業務地区や商業・レジャー地区、住宅地区など各種の条件に対応した、より厳格な駐車場設置基準とその実現を可能ならしめる方策の検討、さらに、明快な費用負担原則の確立などが強く望まれる。

[髙田光雄]

駐車場の種類

駐車場は、道路の路面を使用する路上駐車場と、それ以外の路外駐車場とに大別できる。路上駐車場は、駐車場法に基づいて駐車場整備地区に関する都市計画が定められた場合、都道府県または市町村の定める路上駐車場設置計画に従って、あらかじめ都道府県公安委員会の意見をきいたうえで、地方公共団体により設置される。パーキングメーターを設備し、駐車料金を徴収することができる。路外駐車場は、地表面を使う平面駐車場と、土地の立体利用を図った立体駐車場とに分けられる。立体駐車場は、自動車を運転して駐車スペースまで達する自走式、機械を用いて駐車スペースまで導き入れ保管する機械式、自動車用エレベーターや方向転換装置(ターンテーブル)などの機械を部分的に用いた併用式が存在する。機械式駐車場にはさまざまなものがあるが、そのおもなものは次のとおりである。(1)垂直循環方式 メリーゴーラウンド方式ともよばれ、細長い鉄塔の上下部に取り付けられた歯車に掛けられたチェーンに車をのせるケージ(籠(かご))を吊(つ)り下げ循環移動させる方式。自立式のパーキングタワーと、建物の一部に組み込むものとがある。車を乗り入れる位置は下部とは限らず、一部または全部を地下駐車場とした中間部乗入れ式、上部乗入れ式などがある。(2)多層循環方式 車をのせるパレット(台)を多数連結し、両端でパレットを上段または下段に送りながら何層にもわたって循環移動させる方式。乗り入れ方式、パレットの方向、層間移動の方法などによってさまざまな種類がある。(3)水平循環方式 多数のパレットを水平方向のみに循環移動させる方式。リフトなどを組み合わせて多層化することもできる。(4)エレベーター方式 自動車用エレベーターと駐車室とを組み合わせた方式で、駐車室のとり方によって縦式、横式、旋回式などに分けられる。(5)エレベーター・スライド方式 エレベーター方式と類似するが、エレベーターケージが垂直方向のみでなく水平方向にも移動し、同一階に多数の車を収容できる方式。(6)平面往復方式 平面的にパレットが往復し、車を収容する方式。出入口と駐車室の間をパレットが往復する運搬式と、駐車もパレット上で行う格納式とがある。自動車用エレベーターと組み合わせて建物内に設備することが多い。(7)二段方式 パレットを上下二段に重ね駐車させる方式。単純な昇降式のほか、ピットを設けたものや、下段のパレットを左右に移動できるようにして車の出し入れを容易にした昇降・横行式などがある。

 なお、以上のような機械式に限らず、自走式、併用式をも含めて、立体駐車場と建物との関連に着目すると、屋上駐車場、地下駐車場などのように空間の有効利用を目的としたさまざまな組合せが試みられているのがわかる。また、ショッピングセンターなどに連結された自走式立体駐車場のように、駐車スペースのある階から直接建物に接近できるようくふうされたものもある。

[髙田光雄]


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改訂新版 世界大百科事典 「駐車場」の意味・わかりやすい解説

駐車場 (ちゅうしゃじょう)
parking space

自動車を留置しておく施設,または場所。道路上の駐車場所として定められたものを路上駐車場,道路からはずれた駐車場を路外駐車場と呼ぶ。路上駐車場は一般に路側が使われるが,まれに道路中央部を使用している例もある。路上スペースは限られているので,長時間同一車両に占有させないためパーキングメーターを設け,有料とし,使用時間を制限する場合が多い。路外駐車場は道路外の空間を駐車場として用いたもの,回転式エレベーター塔のもの,駐車ビルディング,建物の地下や屋上の駐車場など種々の形態がある。

 日本では1957年駐車場法が制定され,駐車場整備推進が図られ,一方,62年には〈自動車の保管場所の確保等に関する法律〉が制定され,自動車の保有に当たって保管場所を確保することを義務づけ,青空駐車(同一場所に12時間以上駐車すること,夜間8時間以上駐車すること)を禁止した。日本のように自動車の保有に当たって車庫の保有を義務づけ(警察による車庫証明書を必要とする)ている国は欧米諸国にはなく,逆にほとんどの国では,住宅地内の路上駐車を住民に限って認める制度を設けている。

 日本では都市計画法で駐車場整備を規定しており,同法で定める都市計画区域内の大都市の都心部,地方都市の中心商業業務地区など駐車場整備をとくに必要とする地区を駐車場整備地区として指定する。都市計画区域内で都市計画決定をして整備する駐車場を都市計画駐車場と呼ぶ。また都市計画区域内で500m2以上の有料路外駐車場を設置しようとする者は知事に届けなければならず,このような駐車場を届出駐車場と呼ぶ。駐車場整備地区として定められた場合,地方公共団体は路上駐車場および路外駐車場に関する計画を定め,これらの設置に努めなければならない。路上駐車場については,公安委員会の意見により,地方公共団体が設置し,パーキングメーターは公安委員会により設置,運営される。商業,業務地域内や特定の用途の建物など駐車需要がとくに高いと考えられるとき,地方公共団体は,2000m2以上の建築物を新築,もしくは増築しようとする者に対して駐車場を合わせて設置するよう義務づけることができる。このような駐車場を付置義務駐車場と呼ぶ。
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百科事典マイペディア 「駐車場」の意味・わかりやすい解説

駐車場【ちゅうしゃじょう】

自動車を長時間留めて置く場所。市街地では時間制限をしたり有料にしたりして路側を路上駐車場として利用。路外駐車場は広場式と建物の部分または全部を利用する建物駐車場に分類される。建物駐車場ではリフトやターンテーブルを備え立体駐車する。駐車場法(1957年)ではビルの新・増築に際し地方公共団体の条例で駐車設備の付置を義務づけることができるとしている。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「駐車場」の意味・わかりやすい解説

駐車場
ちゅうしゃじょう
parking lot; parking place; parking space

自動車駐車の施設。道路の路面上に一定の区画を限って設置される路上駐車場,路面外の路外駐車場,建築物またはその敷地内に付置される駐車場がある。公共用のものについては,駐車場法 (昭和 32年法律 106号) によって構造,設備,料金などが規制されている。

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