ケージ(読み)けーじ(英語表記)John Cage

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ケージ」の意味・わかりやすい解説

ケージ
Cage, John

[生]1912.9.5. ロサンゼルス
[没]1992.8.12. ニューヨーク
アメリカの作曲家。作曲を,主としてシェーンベルク,H.カウエルに学ぶ。 1936~38年シアトルで教鞭をとりながら,打楽器のみによるアンサンブルを組織。 38年プリペアード・ピアノ (弦の間にボルトなどをはさむことによって多様な音色に変化させるピアノ) を創始。その後「禅」や「易」に凝るなど独自の音楽思想に基づき話題作を次々と書き,52年『4分 33秒』,54年『34分 46・766秒』と題した作品を発表,音楽に偶然的要素を導入し,ヨーロッパの作曲界に大きな影響を与えた (→偶然性の音楽 ) 。 M.カニンガム舞踊団の音楽監督としても有名。アメリカ作曲家連盟に所属。代表作はほかに"Imaginary Landscape No.4" (1951) ,『ピアノとオーケストラのためのコンサート』 (57~58) ,"Variations I" (58) など。主著"Silence" (61) ,"A Year from monday" (67) 。 62年以降たびたび来日した。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ケージ」の意味・わかりやすい解説

ケージ
けーじ
John Cage
(1912―1992)

アメリカの作曲家、哲学者。ロサンゼルス生まれ。1930年代には半音階的な作品を残したが、40年代に入るとマース・カニンガムらのモダン・ダンスのグループと仕事を始め、打楽器、プリペアド・ピアノの作品を残す。50年代には『易の音楽』(1951)、『四分三三秒』(1952)に代表される禅や易思想を背景とした偶然性の音楽に向かい、世界的な名声中傷を集める。テープ作品『イマジナリ・ランドスケイプ第5番』(1952)、コンピュータ作品『HPSCHD』(1965)、どんな演奏形態も可能な『バリエーションズⅠ』(1958)、サティの原曲を易によって組み替えた『チープ・イミテーション』(1969)などにおいて、図形楽譜コンタクトマイク、スピーカー利用といった新たな音楽世界を創造する。主著『沈黙』(1961)に盛り込まれた音楽・芸術思想は多くの反響をよび、第二次世界大戦後の音楽界で重要な位置を占めている。

[細川周平]

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