出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報
アメリカの作曲家。1950年代より〈偶然性の音楽〉によって欧米の前衛的作曲家に大きな影響を与えた。カウエル,シェーンベルクに学んだ後,1930年代末より打楽器アンサンブルを組織し,カリフォルニアを中心に演奏活動を行う。1942年にはニューヨークに移るが,この前後はM.カニンガムらのためのダンス音楽として,独特のリズム構造をもった,打楽器,弦にボルトや消しゴムを挟んだプリペアード・ピアノのための佳作を書いた。《ソナタとインタールード》(1946-48)が代表的である。40年代末よりしだいに音響と沈黙をそれ自体として聴くことに音楽の意義を見いだし,音響を独立させるために,偶然的に音響を並べる易(えき)にヒントを得た〈チャンス・オペレーションズ〉の方法を用いて《易の音楽Music of Changes》(1951)等を書く。沈黙の曲《4分33秒》(1952)もこの考え方から生まれたが,この期のケージの活動には,後のハプニング等の原型が含まれている。このような彼の音楽は,54年西ドイツで行われた彼の作品の演奏によって西欧の作曲家たちに衝撃をもたらした。さらに50年代末からは音響の選択も偶然にゆだね,不確定性を含む,図形楽譜等を用いるようになる。60年代には音響を含む行為を音楽と考え,楽器の指定のない曲,電子装置やコンピューターを利用した曲,行為や映像を含んだシアター・ピース等を上演している。著書《沈黙Silence》(1961)には,表現より体験を重視する彼の美学が述べられ,音楽以外の領域にも影響を与えた。
→偶然性の音楽
執筆者:庄野 進
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
アメリカの作曲家、哲学者。ロサンゼルス生まれ。1930年代には半音階的な作品を残したが、40年代に入るとマース・カニンガムらのモダン・ダンスのグループと仕事を始め、打楽器、プリペアド・ピアノの作品を残す。50年代には『易の音楽』(1951)、『四分三三秒』(1952)に代表される禅や易思想を背景とした偶然性の音楽に向かい、世界的な名声と中傷を集める。テープ作品『イマジナリ・ランドスケイプ第5番』(1952)、コンピュータ作品『HPSCHD』(1965)、どんな演奏形態も可能な『バリエーションズⅠ』(1958)、サティの原曲を易によって組み替えた『チープ・イミテーション』(1969)などにおいて、図形楽譜、コンタクト・マイク、スピーカー利用といった新たな音楽世界を創造する。主著『沈黙』(1961)に盛り込まれた音楽・芸術思想は多くの反響をよび、第二次世界大戦後の音楽界で重要な位置を占めている。
[細川周平]
出典 (社)全日本ピアノ指導者協会ピティナ・ピアノ曲事典(作曲者)について 情報
…日本で近代的なエレベーターが設置されたのは90年,浅草の凌雲閣が最初で,電動式であった。
[構造]
エレベーターの基本的な構造は,人や荷物を乗せるかご(ケージともいう)とつり合いおもり(カウンターウェイト)とがワイヤロープでつながっており,このワイヤロープを,昇降路(エレベーターシャフト)頂部の機械室に設けた巻上機のシーブ(ロープ車)に巻き掛けて,つるべ式に動作させる。かごおよびつり合いおもりは,それぞれ昇降路の壁に取り付けられたガイドレールに案内されて上下動する。…
…他方,坑内で使用される坑木,ロープ,ポンプその他の器材は,坑口から切羽その他の使用場所まで搬入される。もちろん,坑内で働く人員は,坑口から,坑内の各人の職場まで,ケージや人車などなんらかの乗物を利用して往復するのが普通である。採掘が進むにしたがってつぎつぎに移動していく切羽内での鉱石の積込みと運搬,狭い坑道内で,人員,器材,鉱石およびずりの4者をそれぞれ能率よく安全に運搬する技術,深さ数百mに及ぶ立坑や延長1000mに達する斜坑における運搬など,坑内運搬には,その対象物と目的に応じて,いろいろな技術と設備が用いられている。…
…一方,室内空間を対象とした場合も,建築の工法の発達により,巨大な吹抜けをもったホテルやショッピング・センターなどに,光と造形による環境芸術が登場している。こうした空間の造形表現とは別に,J.ケージやA.カプローなどが始めたパフォーマンスPerformanceは,芸術家と観客が一つになって作りあげる表現状態としての環境芸術といえる。70年代になって,海岸,島,市中のモニュメントなどを布で梱包するクリストのような活動も見られる。…
…音楽に一種の偶然性を利用することは,民族音楽における即興演奏や西洋古典派音楽のカデンツァに見られるように,東西を問わずに古くから存在していた。アメリカの作曲家ケージは,1951年,中国の易の方法を用いてピアノ曲《変化の音楽Music of Changes》(《易の音楽》)を作曲し,以後,欧米の現代音楽の分野で偶然性を利用する音楽活動が活発に行われるようになった。C.ウォルフ,M.フェルドマン,E.ブラウンらのケージ一派の作曲家は,サティの音楽,ダダ,シュルレアリスム,禅,易学などから多くの影響を受けながら,〈インデターミナンシー(不確定性)〉〈ハプニング〉〈イベント〉などと称される生きた音楽行為を重視する音楽活動を展開した。…
…20世紀初頭のアイブズの《弦楽四重奏曲第2番》(1913)をはじめとする数多くの作品は,こうした傾向をすでにみせており,賛美歌や民謡,チャイコフスキー,ブラームスなどの古典曲が引用,コラージュされている。ケージの《クレド・イン・US》(1942)では,器楽演奏とともに,レコードにより既存の音楽をコラージュする。 1948年にシェフェールによって創始された現実音を録音テープの上に構成し,モンタージュしていくミュジック・コンクレートの手法による音楽も,一種のコラージュ音楽といえよう。…
…この常識の枠を組みかえ,〈現実〉を過激な形でずらそうとするねらい(先述の〈ある意図〉)をもった〈しかけ〉はすべて,広義のノンセンスといえる。便器に署名して展覧会に出品したデュシャンや,ピアニストに4分33秒間なにも弾かせないことによって聴衆に〈沈黙〉と〈意図されなかったあらゆる音〉をきかせたJ.ケージなどは,最高のノンセンス芸術家であり,チャップリンやキートンのような無声映画のコメディアンも同様である。 しかし〈現実〉を構成するもっとも重要な要素は言語であるから,当然,言語の合意された意味(センス)や用法をかく乱することがノンセンスの最大の領域となる。…
…そこでは,まず,演劇,音楽,美術といった固定したジャンルが成立せず,〈芸術〉と〈非芸術〉(日常)との間に引かれていた一線も撤去される。パフォーマンスを事実上基礎づけることになったジョン・ケージに例をとれば,彼の活動を単に音楽の分野(偶然性の音楽)に区分けすることはできない。それは,ときには〈演劇〉的であり,〈日常行為〉的であり,また〈宗教〉的ですらある。…
…この催しでは,ハプニングにおいて〈自発的な,起こるべくして起こる何か〉(カプロー)が重要視され,一回性の偶然や自発性が強調されたのである。 カプローのハプニングの淵源には,J.ポロックのアクション・ペインティングとJ.ケージの偶然性の音楽があった。キャンバスを床にひろげ,体ごと中に入って激しいアクションによって絵具を飛び散らせたポロックは,肉体と意識の交錯を生(なま)の時間の中にさらしつづけたわけであるが,ハプニングは,この描く行為自体をさらに積極的に,純粋に演じようとした。…
※「ケージ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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