鸚鵡返文武二道(読み)オウムガエシブンブノフタミチ

デジタル大辞泉 「鸚鵡返文武二道」の意味・読み・例文・類語

おうむがえしぶんぶのふたみち〔アウムがへしブンブのふたみち〕【鸚鵡返文武二道】

黄表紙。3冊。恋川春町作。寛政元年(1789)刊。寛政の改革時の世相を風刺した内容により、著者松平定信から出頭を命ぜられた。

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改訂新版 世界大百科事典 「鸚鵡返文武二道」の意味・わかりやすい解説

鸚鵡返文武二道 (おうむがえしぶんぶのふたみち)

黄表紙。3冊。恋川春町(こいかわはるまち)作,北尾政美(まさよし)画。1789年(寛政1)刊。延喜の御代菅秀才(かんしゆうさい)が輔佐の臣として武を奨励したが,人々の武勇を競い合う行き過ぎが洛中に騒動を起こしたので,大江匡房(まさふさ)を登用して聖賢の道を講ぜしめる。今度はその教えのなかの喩(たと)えを勘違いして凧上げが流行し,鳳凰も姿をあらわすという筋で,松平定信の新政に取材し,その著《鸚鵡言(おうむのことば)》に見られる喩えを借用する。書名もそれを暗示し,前年刊行された朋誠堂喜三二(ほうせいどうきさんじ)の《文武二道万石通(ぶんぶにどうまんごくどおし)》に呼応する。改革政治における武士への揶揄(やゆ)嘲笑を感ぜしめるものがあり,当局は作者に出頭を命じたが,病と称して間もなく死した。自殺とも伝えられる。
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