鹿の巻筆(読み)シカノマキフデ

デジタル大辞泉 「鹿の巻筆」の意味・読み・例文・類語

しかのまきふで【鹿の巻筆】

江戸前期の咄本はなしぼん。5巻。鹿野武左衛門著。貞享3年(1686)刊。収められた笑話江戸落語基礎ともなる。

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精選版 日本国語大辞典 「鹿の巻筆」の意味・読み・例文・類語

しかのまきふで【鹿の巻筆】

  1. [ 一 ] 江戸前期の咄本。五冊。鹿野武左衛門作、古山師重画。貞享三年(一六八六)刊。当時、江戸で座敷仕形咄の第一人者武左衛門の口演台本とも称すべき三九の話を収める。普通の噺本にくらべ長い噺が多い。後に絶板、著者は流罪となった。
  2. [ 二 ] 小唄曲名一つ。〔浮世草子好色一代男(1682)〕 〔浮世草子・本朝二十不孝(1686)〕

しか【鹿】 の 巻筆(まきふで)

  1. ( 「巻筆」は軸に紙または色糸などを巻きつけまわりに毛を植えつけたもの ) 穂を鹿の夏毛で作った巻筆。奈良名物
    1. [初出の実例]「別路に思ひを鹿の巻筆のじくりじくりとぬるる袖哉」(出典:狂歌・後撰夷曲集(1672)七)

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世界大百科事典(旧版)内の鹿の巻筆の言及

【鹿野武左衛門】より

…最大の功績は身振り手振りによる〈仕方噺(しかたばなし)〉を完成し,後世の江戸落語の基盤を作ったところにあり,江戸落語の祖といわれる。咄本は《鹿野武左衛門口伝咄し》3巻(1683),《鹿の巻筆》5巻(1686)がよく知られ,また石川流宣らとの合作《枝珊瑚珠(えださんごじゆ)》5巻(1690),露の五郎兵衛らとの合作《露鹿懸合咄(つゆとしかかけあいばなし)》5巻(1697)などもある。詳しい伝記はわからないが,1693年(元禄6)の江戸における悪疫流行のおりに舌禍事件が生じ,伊豆の大島へ流罪となった。…

※「鹿の巻筆」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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