「小説精言‐四」に「我説二個笑話(〈注〉ヲドケバナシ)一」とある。
滑稽な話,おどけた話をいう。笑話には,人間をおもな登場者として聞き手を笑いでもてなそうとするところに特色があった。古くは,神の前で人々が笑うことが神を慰め,神の怒りを鎮めると信じられていたらしい。山の神にオコゼを見せて笑ってもらうという祭りもその一例である。山遊びや田楽などにも笑話的要素が見られる。民話の中には愚かな行為や失敗を扱った笑話も含まれている。政治的な風刺や卑わいな話も笑話の材料となる。地口,秀句,落ちなど軽妙なことばの洒落を示す言語遊戯による笑話の伝承もある。また,狂言という芸能が生じたが,笑話を最も活用したのは御伽衆,御咄の衆の系を引く噺家である。仏教が伝来して,説教僧が大衆教化の手段として笑話を口演したことも見のがせない。《今昔物語集》には比叡山の座主教円が人を笑わせる説教の達人だったことが記されている。近世初頭に出た説教僧安楽庵策伝の《醒睡笑》は大規模な笑話本で,あらゆる種類の笑話が1000余も収められている。笑話は江戸時代にもおびただしく創作され,噺本で紹介されたが,もともと書物で広がったのではなく,口承の形で全国に伝播したもので,噺本流行の江戸中期には口承と記載の両面が互いにかかわり合って普及した。文化・文政期(1804-30)になって職業的な噺家が登場すると笑話は創作することよりも口演本位となり,同じ作品を違った噺家がそれぞれくふうを加えてすぐれた話芸として伝承するようになった。
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
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