黒パン(読み)クロパン

デジタル大辞泉 「黒パン」の意味・読み・例文・類語

くろ‐パン【黒パン】

ライ麦の粉で作った黒褐色パン。また、小麦粉のパンにカラメル黒砂糖を入れて黒い色にしたもの。→白パン

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精選版 日本国語大辞典 「黒パン」の意味・読み・例文・類語

くろ‐パン【黒パン】

  1. 〘 名詞 〙 ( パンは[ポルトガル語] pão ) 黒褐色のパンの総称。主にライムギから作ったものをいう。北ヨーロッパロシアなどでよく用いられる。
    1. [初出の実例]「左手に黒麺包(クロパン)を攫みて食ひつつ」(出典最暗黒之東京(1893)〈松原岩五郎〉序)

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「黒パン」の意味・わかりやすい解説

黒パン
くろぱん

本来の黒パンは、ライムギ粉に野生酵母を働かせて、ライムギのおいしさを酸味で生かして発酵させたライムギパンであるが、日本では、糖蜜(とうみつ)やカラメルで着色したパン、またはふすま(麬)を加えたものなども含めて、色の黒いパンの総称である。イギリスのライ・ブレッド、ドイツのシュワルツブロート、フランスのパン・ドゥ・セーグル、イタリアのパーネ・ディ・セガーレが本格的な黒パンで、ライムギの種類の違いにより、また発酵法によって生成する有機酸が異なるため、酸味とその強さにそれぞれ特徴がある。一般にライムギパンは本生地の一部を残しておいて種とする老麺(ろうめん)法が用いられる。ライムギが加熱の温度と時間に敏感なのを利用して、焼き方も、型焼き、自由焼きのほかに隣接(くっつけ)焼きがあり、焼き込み時間も6~30時間かけることにより外皮、香味が調整される。またライムギはグリアジングルテリンの含量が少なく、コムギグルテンのような強い粘弾性をもたないので、ライムギパンは気孔率が小さく、口あたりも可塑的な食感をもつ。この膨らみをよくするには小麦粉を加えるが、ドイツではこれを混合パンとよび、ライムギ粉が50%以上のものをライ混合パン、小麦粉が50%以上のものを小麦混合パンと規定している。ライムギは産地によっては飼料にも用いられているが、パンに用いられるものはコムギより製粉歩留りが高く、栄養的にはビタミンミネラルファイバーなどの補給源としてよい。小麦白パンと違って焼きたてはおいしくなく、また消化も悪いので、「ダウアーブロート」(長もちするパン)としての特徴をもっている。ドイツのプンパーニッケルは世界によく知られた有名なライムギパンであり、フランスのメティーユパンはライムギと上質のコムギを混合したおいしいパンである。

[阿久津正蔵]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「黒パン」の意味・わかりやすい解説

黒パン
くろパン

ライ麦パン rye breadともいう。日本では黒砂糖などで着色したパンを黒パンと呼ぶこともあるが,本来はライ麦粉などを大量に含んだ,酸味のある重たいパンをさす。小麦粉を主にした白いパンより栄養価にすぐれる。炭酸ガスの発生には,化学薬品による方法とイースト菌の発酵による方法とがある。

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栄養・生化学辞典 「黒パン」の解説

黒パン

 黒色にみえるパンの総称で,ライムギのパン,全粒コムギ粉を使ったパンなどがある.

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世界大百科事典(旧版)内の黒パンの言及

【パン】より

…ここでは発酵パンを中心にみていくことにする。 発酵パンはそこに使用される穀粉によって,小麦パン(白パン)とライ麦パン(黒パン),および両者の粉を混ぜた混合パンに分けうる。フランスのバゲット,ドイツ圏のゼンメル,米英の食パンといったものが,白パンの代表的なものである。…

【ライ麦】より

…ライムギ粉はやや黒みをおび,パンをつくるとき乳酸発酵で酸性になると粘りを生じる性質がある。この性質を利用してつくられたライムギ粉のパンはいわゆる黒パンで,酸味と独特の風味をもつ。最近では,これを主食とする東欧諸国でも,小麦粉を25~50%混ぜることが多い。…

※「黒パン」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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