(読み)がん

日本大百科全書(ニッポニカ)「龕」の解説


がん

インドのアジャンタやエローラ、中国の雲崗(うんこう)や竜門の石窟(せっくつ)にみられるような、岩壁仏像を安置するくぼんだ場所をいい、転じて厨子(ずし)、箱形厨子の特殊なものをさす。檀木(だんぼく)や檀木風の材で仏体や周囲の荘厳(しょうごん)まで一木で刻むもので、像を中心に考えた場合は龕像、龕仏とよぶ。すべて小さく精密なもので、掌中に入るほどのものもあるという。その起源は中国にあり、円海や円仁(えんにん)の請来(しょうらい)目録にもみえる。すべて浮彫りで切金(きりかね)を施したものもあるが、原則として彩色はない。材は普通、白檀(びゃくだん)、栴檀(せんだん)などの香木を用いるが、日本製のものでは他の材を使用したものもある。日本には奈良時代から輸入され、11、12世紀ごろに貴族の念持仏(ねんじぶつ)として流行し、のちには日本でもつくるようになった。高野山(こうやさん)に伝わる枕(まくら)本尊と称する砲弾形の諸尊仏龕は、初期の輸入品の優れたものの例である。

[佐藤昭夫]

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精選版 日本国語大辞典「龕」の解説

がん【龕】

〘名〙
① 仏像を納める厨子(ずし)仏壇
※続日本紀‐宝亀一一年(780)三月戊辰「金銅鋳像一龕〈略〉漂着海浜」 〔勅修百丈清規‐続制礼儀〕
② 死人を納める輿。棺。ひつぎ。棺桶。
※米沢本沙石集(1283)一〇末「辞世の頌書畢て入滅。〈略〉其後坐しながら龕(ガン)に納め畢ぬ」 〔釈氏要覧‐下〕
③ 塔の下にある小さな部屋。〔元和本下学集(1444)〕

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デジタル大辞泉「龕」の解説

がん【×龕】

石窟や家屋壁面に、仏像・仏具を納めるために設けたくぼみ。また、仏壇・厨子ずしにもいう。仏龕ぶつがん
遺体を納めるかん輿こし。ひつぎ。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典「龕」の解説


がん

仏像を納めるため,岩壁を掘りくぼめた場所。古くインド,中国にその例がみられる。のち扉つきの厨子に仏像を安置したものを仏龕という。

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