インドのアジャンタやエローラ、中国の雲崗(うんこう)や竜門の石窟(せっくつ)にみられるような、岩壁に仏像を安置するくぼんだ場所をいい、転じて厨子(ずし)、箱形厨子の特殊なものをさす。檀木(だんぼく)や檀木風の材で仏体や周囲の荘厳(しょうごん)まで一木で刻むもので、像を中心に考えた場合は龕像、龕仏とよぶ。すべて小さく精密なもので、掌中に入るほどのものもあるという。その起源は中国にあり、円海や円仁(えんにん)の請来(しょうらい)目録にもみえる。すべて浮彫りで切金(きりかね)を施したものもあるが、原則として彩色はない。材は普通、白檀(びゃくだん)、栴檀(せんだん)などの香木を用いるが、日本製のものでは他の材を使用したものもある。日本には奈良時代から輸入され、11、12世紀ごろに貴族の念持仏(ねんじぶつ)として流行し、のちには日本でもつくるようになった。高野山(こうやさん)に伝わる枕(まくら)本尊と称する砲弾形の諸尊仏龕は、初期の輸入品の優れたものの例である。
[佐藤昭夫]
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
2022年度から実施されている高校の現行学習指導要領で必修となった科目。実社会や実生活で必要となる国語力の育成を狙いとし、「話す・聞く」「書く」「読む」の3領域で思考力や表現力を育てる。教科書作りの...