日本大百科全書(ニッポニカ) 「宗湛日記」の意味・わかりやすい解説
宗湛日記
そうたんにっき
安土(あづち)桃山時代の博多(はかた)の豪商で、著名な茶人でもあった神谷(かみや)宗湛の茶会記。四大茶会記の一つとしても知られる。1586年(天正14)11月末から1613年(慶長18)12月に至る宗湛自身が関係した茶会の状況を書き留めたもので、茶人の動静、茶器の形状、買入れ価格などが克明に記され、茶道史の研究上重要である。また、大坂城において行われた1587年正月の新春の大茶会や2月の山里の数寄屋(すきや)での大茶会の記録など豊臣(とよとみ)秀吉に関する記事は、秀吉の権勢、あるいはその人物像を知るうえでも貴重な史料である。他の茶会記とは趣(おもむき)を異にし、宗湛と交流のあった人物の動静や当時の社会情勢にまでその筆は及んでいる。『茶道古典全集』『随筆文学選集』所収。
[小林保夫]
『『宗湛日記』(『桑田忠親著作集9』所収・1980・秋田書店)』