数寄屋(読み)スキヤ

精選版 日本国語大辞典 「数寄屋」の意味・読み・例文・類語

すき‐や【数寄屋】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 茶の湯のための建物小庵小室に茶席・勝手・水屋などを備えたもの。茶室。
    1. [初出の実例]「其後数寄屋に被召寄て、御手前にて御茶被下候也」(出典:宗湛日記‐天正一五年(1587)一月四日)
  3. 茶室風につくられた建物。

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

山川 日本史小辞典 改訂新版 「数寄屋」の解説

数寄屋
すきや

(1)茶室。主屋とは別棟の茶席・勝手・水屋を備えた建物。(2)数寄屋造・数寄屋風書院造とも。近世住宅で茶室建築意匠をとりいれた建物。平面などは基本的に書院造と同じだが,丸太や面皮(めんかわ)材を柱や長押(なげし)など,外からみえる部分にも用いる点,意匠性の高い棚や欄間を設ける点などが特色。ただし棚や欄間の意匠については,茶室建築からの影響だけでは説明できないので,武家の文化に対抗する近世公家文化の美意識が反映されていると考えられている。桂離宮をはじめとする別荘建築や料理茶屋などに用いられた形式。(3)障子に張る美濃紙

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世界大百科事典(旧版)内の数寄屋の言及

【数寄屋造】より

…室町中期には侘茶(わびちや)を示す言葉として〈数寄(すき)〉が用いられるようになり,茶の湯を行うところを〈数寄屋〉と称するようになる。1564年(永禄7)編述の《分類草人木》に〈数寄座敷〉と出てくるのが早い例であるが,〈数寄屋〉の語もこのころには見られる。…

【茶室】より

…また茶会記には座敷の広さだけが記されることもあった。そして〈かこい(囲)〉とか〈数寄屋〉〈小座敷〉の呼称もおこなわれた。囲の名称は,屋内の一部を囲って茶の湯の空間を形成したところから生まれたものであろう。…

※「数寄屋」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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