精選版 日本国語大辞典 「所で」の意味・読み・例文・類語
ところ‐で【所で】
① 確定的な関係を表わす。古くは順接条件の場合が多く、近代以降は逆接条件の場合が多い。
※中華若木詩抄(1520頃)下「よわき風がそろそろと吹ところて、つもりたる雪が乱れてちるぞ」
② 仮定の逆接条件を表わす。…しても。
[2] 〘接続〙
① 先行の事柄に反する事柄を述べるときに用いる。だが。しかるに。
※寛永刊本蒙求抄(1529頃)一「こなたへはまいり候まいと云ぞ、処で三度まで行れたぞ」
② 先行の事柄から順当に予想される事柄を述べるときに用いる。そうすると。すると。それで。
※寛永刊本蒙求抄(1529頃)一「其のくじに一くじが出たぞ、処で臣下共が今年ばかり代を御もちあらうかと云ふ心にみたぞ」
③ それまで述べてきた事柄から離れて、話題をかえるときに用いる。さて。それはそれとして。
※安愚楽鍋(1871‐72)〈仮名垣魯文〉二「りかうにすぎて姦曲(わるぢゑ)をめぐらすものがでるぢゃから、そのままにはすておかれぬテ。ところで古金から四文一文の銅銭までその比例(わりあひ)が出来たのぢゃ」
[語誌](1)(一)の用法として、(イ)前件が後件の事態を新たに展開させるためのきっかけとなったことを表わすものと、(ロ)前件が後件実現の原因・理由となったことを表わすものとの二種がみとめられるが、(イ)の場合には、逆接的展開をするものもあり、順逆未分化の状態ということができる。「ロドリゲス日本大文典」(一六〇四‐〇八)では、「Tocorode(トコロデ)は Fodoni(ホドニ)と同じく理由を示す」と記し、室町末期から江戸初期にかけて、(ロ)の用法が中心的となる徴候を示している。
(2)(二)のように接続詞として使われるようになるのも、室町時代から江戸初期にかけてであり、用法としては、①②に見られるようにやはり順接・逆接両様が存在した。近代以降は、話題をかえる③の用法が主流となっている。
(3)(一)は、同系の「ところが」が逆接確定条件を示す表現として近世以降発展した影響をうけて、しだいに(イ)の用法を担う性格を強め、近代以降は、この用法でのみ生きのこるという事態となった。
(4)これと期を同じくして、「…たところで」という形が「よしんば」「よしや」「よし」「たとへ」などの仮定を表わす副詞とともに使われるなどして、結果的に仮定の逆接条件を表わすようになった。
(2)(二)のように接続詞として使われるようになるのも、室町時代から江戸初期にかけてであり、用法としては、①②に見られるようにやはり順接・逆接両様が存在した。近代以降は、話題をかえる③の用法が主流となっている。
(3)(一)は、同系の「ところが」が逆接確定条件を示す表現として近世以降発展した影響をうけて、しだいに(イ)の用法を担う性格を強め、近代以降は、この用法でのみ生きのこるという事態となった。
(4)これと期を同じくして、「…たところで」という形が「よしんば」「よしや」「よし」「たとへ」などの仮定を表わす副詞とともに使われるなどして、結果的に仮定の逆接条件を表わすようになった。
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報