掻き立てる(読み)カキタテル

デジタル大辞泉 「掻き立てる」の意味・読み・例文・類語

かき‐た・てる【×掻き立てる】

[動タ下一][文]かきた・つ[タ下二]
勢いよくかき回して、まぜる。「卵を―・てる」
刺激を与えて、感情行動を起こすように促す。そそる。「関心を―・てる」
灯心を上に引き上げて明るくする。また、薪や炭火などを、つついて火の勢いを強くする。「灯心を―・てる」「囲炉裏の火を―・てる」
オーバーなどの襟を立てる。「寒風に襟を―・てる」
弦楽器を弾く。
「琴の音のあるかぎり―・てて遊ぶに」〈宇津保・俊蔭〉

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精選版 日本国語大辞典 「掻き立てる」の意味・読み・例文・類語

かき‐た・てる【掻立・攪立】

  1. 〘 他動詞 タ行下一段活用 〙
    [ 文語形 ]かきた・つ 〘 他動詞 タ行下二段活用 〙
  2. かきまわして、下の方にあるものをわき上がらせる。また、勢いよくかき混ぜる。
    1. [初出の実例]「小便良薬法印送賜之〈略〉かへりゆにかきたてて、朝とひると夕かたと、きこしめされ候へく候」(出典:教言卿記‐応永一五年(1408)一二月三日)
    2. 「馬の蹄に掻(カ)き立(タ)てられた軽い埃(ほこり)が」(出典:満韓ところどころ(1909)〈夏目漱石〉四九)
  3. 弦楽器をひいて鳴らす。かき鳴らしてよい音を出す。
    1. [初出の実例]「琴の音の有るかぎりかきたてて遊ぶに」(出典:宇津保物語(970‐999頃)俊蔭)
    2. 「かきたて給ふばち音は」(出典:苔の衣(1271頃)四)
  4. 灯心や燃えているものなどをかき出して火の勢いを強くする。かきおこす。多く、ともしびの芯(しん)を出して明るくする場合に用いられる。
    1. [初出の実例]「灯幽かに掻立て、親子三人念仏して居たる所に」(出典:平松家本平家(13C前)一)
  5. 強い刺激を与えて、心の奥にひそんでいる感情をわき上がらせる。強く刺激する。そそる。
    1. [初出の実例]「じっとこたへて気を掻立(カキタ)てさへせねば」(出典:浄瑠璃桂川連理柵おはん長右衛門)(1776)下)
    2. 「自分だけがとり残されているようなさびしさにかきたてられた」(出典:巷談本牧亭(1964)〈安藤鶴夫〉晴れた日に)

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