鈴木萬里(1世)(読み)すずきばんり[いっせい]

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「鈴木萬里(1世)」の意味・わかりやすい解説

鈴木萬里(1世)
すずきばんり[いっせい]

[生]?
[没]文化13(1816).7.29.
上方における江戸長唄・豊後節系の唄方。前名熊次郎。江戸の人といわれ,1世荻江露友門弟とも伝えられる。安永3 (1774) 年江戸市村座の『花形見風折鳥帽子』に1世松永忠五郎の立唄に三枚目をつとめ,天明4 (83) 年大坂角の芝居に出演。同年中の芝居の顔見世役者番付には「外記節・小歌」と記され,メリヤスと唄浄瑠璃をうたって好評を博した。その後『七変化 (ななばけ) 七草拍子』『冥途の忍里 (わかれざと) 』などでますます評判を得,そのまま大坂の劇場の専属となった。長唄のほか江戸の常磐津・富本など豊後節系唄浄瑠璃をも兼ね,「長唄の親玉」ともてはやされた。文化5年 (1808) 門弟で養子の宗 (惣) 吉に2世を譲り亀寿斎と改名。長唄および江戸の豊後節系浄瑠璃を上方に普及した功績は大きい。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

今日のキーワード

選挙公営

国または地方公共団体が個々の候補者の選挙費用の一部または全額を負担すること。選挙に金がかかりすぎ,政治腐敗の原因になっていることや,候補者の個人的な財力によって選挙に不公平が生じないようにという目的で...

選挙公営の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android