2プラス2(読み)つーぷらすつー

共同通信ニュース用語解説 「2プラス2」の解説

2プラス2

2カ国の外務・防衛当局の代表者が安全保障政策を協議する枠組み。日本は閣僚級では米国オーストラリアロシアフランス英国インドネシアインドドイツフィリピンとの間で設けている。ロシアとは相互理解を深め、北方領土交渉につなげる狙いがあった。機密情報を扱うため対面開催が基本だが、最近はオンラインでも開かれる。米国とは、経済安全保障分野での連携を強化するため、外務・経済担当閣僚による経済版2プラス2も新設した。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「2プラス2」の意味・わかりやすい解説

2プラス2
つーぷらすつー

国と国との間で安全保障問題について協議する閣僚級会合の通称外交担当閣僚と国防担当閣僚がそれぞれ出席するため、こうよばれる。外交・国防問題だけでなく、世界各地の紛争や、核、テロなど幅広い安全保障問題について意見交換する場であり、開催は不定期で、外交・国防問題の重要な節目に開かれることが多い。広義には、閣僚級だけでなく次官級会合を含めるほか、経済担当大臣らが参加する経済版2プラス2もあり、日米韓など3か国以上で開催する構想もある。

 日本では長らく、日本の外務大臣、防衛庁長官(現、防衛大臣)とアメリカの国務長官国防長官が出席する日米安全保障協議委員会Japan-United States Security Consultative Committee(日米2プラス2、SCC)をさした。その後、日本政府は2007年(平成19)のオーストラリア政府を皮切りに、ロシア(2013)、フランス(2014)、イギリス(2015)、インドネシア(2015)、インド(2019)、ドイツ(2021)、フィリピン(2022)と対象国を増やし、安全保障問題を話し合う枠組みを広げた。世界では米韓、アメリカ・フィリピン、ロシア・エジプト間などで開かれており、中国の台頭やロシアのウクライナ侵攻による国際情勢の変化を受け、2プラス2の枠組みを新たにつくる国が増えている。

 日米2プラス2は1960年(昭和35)にスタートし、当初、アメリカ側の出席者は在日アメリカ大使、アメリカ太平洋軍司令官であったが、1990年(平成2)から閣僚級に格上げされた。これまで「日米防衛協力のための指針」(ガイドライン)の見直し、弾道ミサイル防衛の技術研究、テロや大量破壊兵器への対策を盛り込んだ共通戦略目標、沖縄に駐留するアメリカ軍基地の整理・縮小問題、在日アメリカ軍の再編問題、日本の反撃能力(敵基地攻撃能力)の効果的運用と協力の深化、などについて話し合われてきた。日本は2007年(平成19)以降、首脳会談などの場で各国首脳に提案して対象国を拡大した。これは軍事増強を強める中国や北朝鮮を牽制(けんせい)するねらいがある。2022年(令和4)には、日米間で外交担当と経済担当の閣僚が出席し、半導体や資源・食糧など経済面の安全保障について協議する経済版2プラス2を新設した。

[矢野 武 2023年4月20日]

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知恵蔵mini 「2プラス2」の解説

2プラス2

日本と米国が両国の安全保障に関する政策を協議する、日米安全保障協議委員会の通称。日本から外務大臣と防衛大臣の2閣僚、米国から国務長官と国防長官の2閣僚が参加するため「2プラス2」と呼ばれるようになった。1960年設置。開催は不定期で、重要な節目に日本の閣僚が訪米して行うのが通例。これまでに、日米防衛協力指針(ガイドライン)の見直し、沖縄米軍基地の整理・縮小に関する日米特別行動委員会合意などが行われている。

(2013-10-9)

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