国際業種別書記局International Trade Secretariatsの略称。〈国際産業別組織〉とも訳す。諸国の労働組合が同一の職業または産業を基礎に国際的に連合したもの(産業別インター)をいう。今日では,そのうち国際自由労連系のものだけをさし,現在13のITSがある。〈書記局〉なる語は,19世紀の終りころヨーロッパで職業別または産業別の組合が国境をこえて連絡協力した際,ある国の関係組合を指定して書記局を担当させたことに由来する。その後,単産が産業別インター,たとえば鉱夫インター(MIF,1890),繊維インター(今日のITGLWF,1893),国際運輸労連(ITF,1896)を設立してからもITSの名称が引き続き使われて今日に至っている。第1次大戦直前にすでに28のITSがあり,大戦後はアムステルダム・インターナショナル(国際労連,IFTU)と緊密な同盟関係を結んだ。
ITSは,その初期の段階では関係組合の本部(書記局)間の協力,それもヨーロッパが主であったが,第2次大戦後は本格的な国際的連合体として全世界的存在にまでなってきた。1945年の世界労連(WFTU)の結成にあたって,ITSは一致してその傘下に入ることを拒否した。歴史と伝統のあるITSとしては,従属的地位と中央集権的指導に服するわけにはいかなかったのである。戦後のILO(国際労働機関)が国際労働総会のほかに炭鉱,繊維,運輸など主要産業について3者(政府,使用者,労働者)構成の常設委員会の設置を決めていたことも,ITSの立場を強くした。49年の国際自由労連(ICFTU)の結成によってITSは自らの自主性を前提にして協力関係に立ち,両者が〈同一の国際労働組合運動の陣営に属する〉ことを承認しあった。名門の国際運輸労連がJ.オルデンブロック書記長を国際自由労連の初代書記長に出し,すべての管理運営機関にITS代表が参加することが国際自由労連規約に明記された。これは,国際自由労連の一般方針をITS側も採用することを意味する。ITS側もいまでは自ら総会を定期的にもち,また国際自由労連側も個々のITS間の縄張争いの解決や組合統合に手を貸してきた。こうして現在では合計13にのぼるITSが国際労働組合運動の一翼を担っている。経済の国際化または世界化の進展,ことにEC(ヨーロッパ共同体)や多国籍企業の出現はITSにとって絶好の舞台になった。国際金属労連(IMF),国際化学エネルギー鉱山一般労連(ICEM),国際食品産業関連労連(IUF)は,国際的巨大企業に対し加盟組合と共同して立ち向かうために個々の作業部会(企業別世界協議会)を設ける方式を開発し,国際的交渉権への道を歩みだした。日本との関係では,第2次大戦前は日本海員組合(全日本海員組合の前身)の国際運輸労連(ITF)加盟が唯一の例であったが,戦後は大多数のITSが日本の加盟団体をもつに至った。64年のIMF-JC(国際金属労連日本協議会,1975年に全日本金属産業労働組合協議会に改称)の結成は,その後の春闘における民間先行型を定着させ,また大産業別団体(大単産)が日本で出現する契機になった。
執筆者:高橋 武
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(横田一輝 ICTディレクター / 2014年)
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高度道路交通システム。過密による交通困難、事故の多発、大気汚染など、道路交通は世界的に大きな問題を抱えている。わが国ではこれに高齢化の問題も加わる。こうした難問を解決し、より安全、快適で、環境にも配慮したシステムがITSである。各国とも国家的一大プロジェクトとして取り組んでおり、実用化に近づいている国もある。わが国でも警察庁、経済産業省、国土交通省、総務省の4省庁が連携しながら研究開発を進めている。具体的には、すでに実用化されている道路交通情報通信システム(VICS)、高速道路のETC(ノンストップ自動料金収受システム)のほか、路上の危険をドライバーに知らせたり、状況に応じ操向や制動を補助し、最終的には自動走行を目ざす走行支援道路システムなどが研究されている。
[高島鎮雄]
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…いわゆる第一インターナショナル)に始まるが,これは,71年のパリ・コミューンを高く評価するマルクスら(つまり革命と政治重視派)と外国からのストやぶり阻止やスト支援の国際基金などを重視する組合運動家たちとの対立もあって,短命に終わった。後者の流れを継承するものとして,いろいろの業種にITS(業種別書記局)がいくつも生まれ,また諸国のナショナル・センター(中央団体)を集めた1901‐03年の国際労働組合書記局(本部コペンハーゲン,のちベルリン)からは,実質的に13年(正式には1919年)に国際労働組合連盟(IFTU。いわゆるアムステルダム・インターナショナル)が生まれた。…
…PLATO III,IVやLOGO等に代表されるような多くのシステムが開発された。 一方で,カーボネルJ.CarbonellによってSCHOLARが1970年に発表され,それ以降,人工知能研究の発展を背景に知的CAI(ITS(Intelligent Tutoring System)とも呼ばれる)の研究が盛んになってきた。1970年代から80年代にかけて,MYCINの流れを汲むGUIDENや,減算教育のBUGGY,プログラミング教育のLISP TUTOR等が開発された。…
…と同時に国際化の進展にともない,労働組合運動の国際的連帯の必要性が痛感されてきた。(2)官公労働組合においても,スト権奪還闘争の重要な一環であったいわゆるILO闘争を通じて,国際自由労連およびITS(国際産業別組織)の援助を受け,それとの接触が深まる一方,ハンガリー事件,チェコ事件,ポーランドのたび重なる騒動などによって,社会主義圏の労働組合を中心とする世界労連の威信が国際的に低下した。(3)春闘が始まった当初には全労会議は闘争激発主義,スケジュール闘争だとしてこれに批判的であり,春闘は総評,中立労連がつくった春闘共闘会議主導で行われてきたが,65年ころになると同盟傘下の組合のなかに春に賃上げ闘争を行う組合が増加した。…
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出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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