国際労働組合連盟International Federation of Trade Unions(IFTU)の通称。1903年にダブリンで創立された労働組合ナショナル・センターの国際書記局が13年,国際労働組合連盟と改称したが,翌14年の第1次世界大戦の勃発により瓦解,戦後の19年7月アムステルダムで開催された国際労組大会で新規約のもとに組織が再建された。通称はこれにちなむ。ITSと緊密な関係をもった。39年まで本部をアムステルダムに置き,ヨーロッパ諸国の社会民主党系幹部が指導権を掌握,第二インター系労働組合の国際連合組織として,コミンテルン系のプロフィンテルンに対抗して改良主義的政策をつらぬいた。主力はイギリス,ドイツ,フランスなどの労働組合。はじめこれをボイコットしたソビエト労組はのちに方針を改め加盟申請したが認められず,アメリカ労働総同盟(AFL)は19年の大会に出席したものの37年まで加盟しなかった。39年の加盟員数は2050万人であったが,指導部は第2次大戦前と戦中に反ファシズム闘争に熱意を示さず,支持を失い,45年の世界労連創立直後に解散した。
→国際自由労連
執筆者:中林 賢二郎
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正式名は国際労働組合連盟International Federation of Trade Unions(略称IFTU)。1903年創立の各国労働組合センター国際書記局が、1913年スイスのチューリヒで開催の第8回国際労働組合大会で名称を国際労働組合連盟と改称。翌1914年第一次世界大戦勃発(ぼっぱつ)によりその機能を停止し、戦後1919年7月にオランダのアムステルダムで開催の国際労働組合大会で再建され、本部が同市に置かれたことから、この名でよばれる。イギリス、フランス、ドイツ、アメリカ、オーストリア、オランダ、ノルウェー、スイス、スペイン、チェコスロバキアなど、約2400万人の労働者を結集する欧米諸国の社会民主主義系中央派ならびに右派の指導下にある労働組合ナショナル・センターが参加していた。指導部は第二インターナショナルと緊密な関係をもち、ソ連の労働組合や共産党、革命的サンジカリストなどの指導下にある組合を排除する政策をとったため、国際労働組合運動をプロフィンテルン系と二分する結果に導いた。1930年代後半からファシズムの台頭により、ドイツ、オーストリア、チェコスロバキアなどその傘下組合のかなりの部分を失い、第二次世界大戦中は機能をほとんど停止していた。戦後、アメリカ、イギリスなどの組合指導者はその再建を企てたが、大衆的支持は得られず、傘下組合はアメリカのAFLを除いて1945年10月創立の世界労働組合連盟(WFTU)に吸収され、IFTUはその歴史を閉じた。
[中林賢二郎]
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…その後,単産が産業別インター,たとえば鉱夫インター(MIF,1890),繊維インター(今日のITGLWF,1893),国際運輸労連(ITF,1896)を設立してからもITSの名称が引き続き使われて今日に至っている。第1次大戦直前にすでに28のITSがあり,大戦後はアムステルダム・インターナショナル(国際労連,IFTU)と緊密な同盟関係を結んだ。 ITSは,その初期の段階では関係組合の本部(書記局)間の協力,それもヨーロッパが主であったが,第2次大戦後は本格的な国際的連合体として全世界的存在にまでなってきた。…
…後者の流れを継承するものとして,いろいろの業種にITS(業種別書記局)がいくつも生まれ,また諸国のナショナル・センター(中央団体)を集めた1901‐03年の国際労働組合書記局(本部コペンハーゲン,のちベルリン)からは,実質的に13年(正式には1919年)に国際労働組合連盟(IFTU。いわゆるアムステルダム・インターナショナル)が生まれた。国際自由労連はこの線上にある。…
…〈インターナショナル〉の項を参照)。なお同インターの影響のもとに各国の労働組合中央組織を結集する国際労働組合連盟(アムステルダム・インターナショナル)が組織された。ロシア革命の成功後,レーニンは社会民主主義の系譜とは別個の,共産主義インターナショナル(第三インターナショナル,コミンテルン)を結成した(1919)。…
※「アムステルダムインターナショナル」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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