一定の証拠金を預ければ、その何倍もの通貨の売買ができる外国為替取引。少ない元手で大きな利益を得られる可能性がある一方で、巨額の損失を抱える恐れもある。国内では投機過熱を防ぐため、個人投資家について元手の25倍までに取引が制限されている。インターネットを使って取引できる手軽さから、主婦やサラリーマンの投資家も多い。
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一定の証拠金を業者に差し出すことで多額の運用ができる外国為替取引。1998年の法改正で個人が自由に外国為替取引をできるようになり、徐々に規模が拡大した。インターネットを通じて気軽な売買が可能だが、相場急変時は巨額の損失を被るリスクもある。円とドルの売買が最も多く、ユーロやポンドを円と交換する取引もみられる。
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FX取引ともよばれ、外国の通貨に投資する手段の一つ。日本では1998年(平成10)4月の「外国為替及び外国貿易法」改正により誕生した。インターバンク市場における外国為替取引の売買単位を小口化し、さらにより少額の証拠金を担保とすることで個人投資家の参加を可能にした金融商品である。
2国間の為替を売買することで得られる収益は、キャピタル・ゲインとインカム・ゲインとに大別される。キャピタル・ゲインは為替変動に伴い発生する為替差益であり、インカム・ゲインは通貨間の金利差によりもたらされる。この金利差はスワップポイントともよばれ、高金利通貨を購入して低金利通貨を売却することでその差額を受け取る。ただし、これら収益の源泉は、それぞれ逆の場合にはキャピタル・ロスとインカム・ロスが生じることとなる。
FX取引では、一定の証拠金を差し入れれば、その証拠金の何倍かの取引を行うことができる。つまり、レバレッジ(外部資金の導入により自己資金の投資収益の向上を図ること)を利用した投機的な取引である。たとえば、100万円の元手を証拠金としてレバレッジを100倍としてドルに投資した場合、1円円安に動けば証拠金と同額の100万円を手中にすることができる。逆に、1円の円高は100万円の損失をもたらすこととなる。また、評価損失額が拡大する過程では、最低委託証拠金率を維持するために追い証(追加証拠金)の差入れが必要となる場合もある。レバレッジの倍率は投資家が選択することができるが、高収益がねらえる半面、高いリスクにもさらされている。FX取引に伴うリスクには、為替変動や金利変動による本来的なものに加えて、取引先業者との相対(あいたい)取引であるケースでは、業者が倒産した場合などに預け入れた資産が返還されないかもしれないという信用リスクも付随する。
[高橋 元]
『植月貢・野本哲嗣著『図解雑学 FX(外国為替証拠金取引)のしくみ』(2008・ナツメ社)』▽『松田哲著『外国為替・FXのしくみ――損得を生み出す取引市場のカラクリとは?』(2009・PHP研究所)』
(絹川直良 国際通貨研究所経済調査部長 / 竹中正治 (財)国際通貨研究所経済調査部長 / 2008年)
出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報
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