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V兵器 ブイへいきVergeltungswaffe

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

V兵器
ブイへいき
Vergeltungswaffe

ドイツが第2次世界大戦中,連合国の攻撃に対する報復用として開発したV-1号,V-2号のこと。V-1号は有翼無人ジェット機形式でパルスジェットを推進動力とし,磁気コンパス,高度計,ジャイロなどをセンサーとする予調式の誘導装置をもつ。速力は時速 600km,射程約 240km,頭部は約 850kgの高性能爆薬で,1944年6月以来約 8000発が主としてロンドンに向けて発射された。目的地に到達したのは約 2400,死者 5800人,家屋の全壊2万 4500戸の損害を与えた。V-2号は W.ドルンベルガーと W.ブラウンによって開発された1段式液体燃料ロケットで,全長約 14m,直径約 1.6m,重量約 13t。推進剤には,エチルアルコール,酸化剤に液体酸素を使用した。射程約 300km,目標に落下する速度は秒速約 800mに達し,1tの弾頭には高性能爆薬約 750kgが収められた。 44年9月から 45年3月まで約 4000発が連合国の目標に対して発射された。そのうち約 1000発の被害を受けたロンドンでは死者 2754人,家屋6万戸の損害を出した。V-1号は無人機形式であったので半数以上が撃墜されたが,V-2号は1発も撃墜されなかった。戦後の巡航ミサイルはV-1号が,弾道ミサイルはV-2号がその原型をなしている。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

V兵器
ぶいへいき
vengeance weapon

第二次世界大戦末期にドイツが発射したミサイル兵器。ヒトラーが報復兵器と命名し、頭文字をとってV兵器とよばれた。V1号パルスジェットエンジンを用いた小型の無人飛行機型で、1944年6月以降ロンドンに向けて約9000発が発射された。しかしスピードと航続距離が劣り、戦闘機や対空砲火に撃墜されるものが多く、ロンドンに到達したのは約2400発であった。V2号は燃料としてアルコール、酸化剤として液体酸素を使ったロケット兵器で、同年9月以降、約2700発がイギリスとオランダに向けて発射された。ロンドンには約500発が落下したが、戦局を大きく変えることはできなかった。V2号の設計者は、のちにアメリカの最初の人工衛星エクスプローラ1号を設計したフォン・ブラウンであった。V1号が現在の巡航ミサイル、V2号が弾道ミサイルの元祖ということになる。[服部 学]

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