バイオセーフティーレベル(BSL)4施設 致死率が高いエボラ出血熱や南米出血熱のウイルスなど、危険性が4段階のうち最も高い1種病原体を扱える施設。室内を陰圧に保ち、吸排気口に高性能なフィルターを取り付けるなど厳しい要件があり、高度な封じ込め対策が施されている。世界各国に60施設以上あるとされる。国内で稼働しているのは、国立感染症研究所村山庁舎(東京都武蔵村山市)の施設のみで、業務内容を患者の診断や治療目的に限定している。
更新日:
出典 共同通信社 共同通信ニュース用語解説共同通信ニュース用語解説について 情報
病原体のなかでもとくに重篤な感染症を引き起こし、しかも有効な治療法がないためにヒト等を死に至らせるケースが多い病原体微生物を扱うことが可能になるように、最高度の安全性設備を備えた実験施設。高度安全実験施設ともいう。BSLはbiosafety level(バイオセーフティレベル)の略であり、4段階に分類されている。BSL施設のなかでBSL4施設はもっとも危険性の高い病原体を扱うことができる設備である。対象の病原体は、リスク分類のなかのグループ4(最高危険度)に該当するエボラウイルス、クリミア‐コンゴウイルス、天然痘ウイルス、マールブルグウイルス、ラッサウイルスなどである。以前は、こうした病原体を扱う施設を「P4施設」と称したが、Pが「pathogen(病原体)」や「protection level(防御レベル)」の略とされるなど混乱する場合があったために、現在ではBSL4施設という名称を用いるようになった。BSL4施設は以前のP4施設と同等の病原体の封じ込めが可能な施設である。
日本国内を対象としたBSL4の基準は、国立感染症研究所が策定した「病原体等安全管理規程」に示されており、BSL4施設はこの規程にある下記のような厳しい要件を満たさなければならない。他の区域からの実質的・機能的隔離、入口部二重ドア(インターロック)、国際バイオハザード標識の表示、立入り厳重制限、施錠、エアロック(気圧を保つために設けられた機構)を通っての入室、退出時シャワー、専用個人曝露(ばくろ)防止器具(PPE)・生物学用安全キャビネット(BSC)使用、専用廃棄物処理、オートクレープ(高圧蒸気滅菌器)設置、陰圧(施設の外から内に向かう一定方向の気流)が保てる高性能粒子吸着空気(HEPA)フィルター排気システムなどである。
日本のBSL4に該当する施設は、重篤な疾患の病原体を対象とする国立感染症研究所の村山分室(1981年武蔵村山(むさしむらやま)市に設置。現、村山庁舎)と、遺伝子組換え実験を主体とする理化学研究所のライフサイエンス筑波研究センター(1984年設置。現、筑波事業所)に設置されたが、両施設とも住民の反対などにより建設当初からほとんど稼動していない状況が続き、エボラウイルスなどのBSL4レベルの病原体に対応できなかった。しかし、バイオハザード(生物災害)に対する国際的な脅威や認識を踏まえ、日本でも対応可能な施設を速やかに整えることが緊急の課題となってきた。実際に、主要8か国でBSL4施設が稼働していないのは日本だけであったが、2015年(平成27)8月、国立感染症研究所村山庁舎のBSL4施設稼働について、厚生労働大臣と武蔵村山市長が合意し、正式に稼働を開始した。なお、それに先だった2014年11月、簡易検査でエボラ出血熱の発症が疑われたケースでは、村山庁舎にて判定を確定している。
[飯野和美 2016年5月19日]
『国立感染症研究所バイオリスク管理委員会編『国立感染症研究所病原体等安全管理規程』(2010・国立感染症研究所総務部調整課)』
(2015-8-10)
〘 名詞 〙 年の暮れに、その年の仕事を終えること。また、その日。《 季語・冬 》[初出の実例]「けふは大晦日(つごもり)一年中の仕事納(オサ)め」(出典:浄瑠璃・新版歌祭文(お染久松)(1780)油...
12/17 日本大百科全書(ニッポニカ)を更新
11/21 日本大百科全書(ニッポニカ)を更新
10/29 小学館の図鑑NEO[新版]動物を追加
10/22 デジタル大辞泉を更新
10/22 デジタル大辞泉プラスを更新