化学辞典 第2版 「L-チロキシン」の解説
L-チロキシン
チロキシン
L-thyroxine
O-(4-hydroxy-3,5-diiodophenyl)-3,5-diiodo-L-tyrosine.C15H11NO4I4(776.87).甲状せんホルモンの一つ.甲状腺内に存在するチログロブリンのペプチド内にアミノ酸残基として存在し,酵素の作用により3,5,3′-トリヨードチロニンなどと一緒に遊離の状態で血液中に放出される.チログロブリンのトリプシンによる加水分解,甲状腺の水酸化バリウムによる加水分解により得られる.分解点235~236 ℃.-4.4°(0.13 mol L-1 水酸化ナトリウム-70% エタノール).pI4.5.水,エタノールに不溶.酸,アルカリ存在下でエタノールに溶解する.アルカリに安定,酸に不安定でヨウ素を分離する.生理作用は複雑であり,動物の新陳代謝を促進する.チロキシンが欠乏すると甲状腺腫,甲状腺機能低下症,クレチン病,粘液水腫などをきたすので,これらの症状の治療に使用する.[CAS 51-48-9]
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報