知恵蔵 の解説
LINEアカウント乗っ取り事件
LINEでは、他のSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)などと同様に、ユーザー個々を識別しサービスにログインするための「アカウント」が必要である。携帯電話の電話番号を登録したり、Facebookのアカウントと連携させたりすることでアカウントが入手できる。また、機種変更時には、任意のメールアドレスやパスワードを登録しておくことで、同一のアカウントを引き継ぐことが可能となる。乗っ取りをたくらむ犯罪者は、不正に他人のFacebookアカウントや、登録されているメールアドレス、パスワード情報を入手し、そのアカウントのLINEユーザーになりすます。
そして、乗っ取ったLINEユーザーのふりをして、友人や家族に、電子マネー(WebMoney・ウェブマネー)のプリペイドカードを購入して欲しいという趣旨のメッセージを送る。なりすましに気付かない友人や家族がプリペイドカードを購入すると、犯罪者は、次にそのプリペイドカードに記載されている番号を送信させる。電子マネーのプリペイドカードは、インターネット上での物品購入に多く利用されているが、カード自体がなくても記載されている番号で、物品購入や現金化が可能なため詐欺が成立する。
2014年7月22日、警視庁サイバー犯罪対策課は、LINEアカウント乗っ取りによる詐欺被害が、6月以降東京都内で計100件、被害総額は約650万円に上ることを発表した(金銭の被害がなかったものを含めると相談件数は252件に上る)。
LINEのアカウントを乗っ取られないためには、登録するメールアドレスのパスワードを一意のものにすること。登録したメールアドレスのパスワードが、Gmailなどのフリーメールや、Twitter、Facebookなどと同じにして、使いまわしていると、盗まれる可能性が高くなる。また、パスワードは、推測されにくいものを使い、定期的に変更することが大切だ。
14年7月17日、LINE公式ブログにて、4桁の「PINコード」という暗証番号の設定機能が公開された。「PINコード」は、電話番号の違う別のスマートフォンやパソコンからログインする場合に必要となるため、なりすましの防止に役立つ。
なお、LINEの設定で「他端末ログイン許可」をオフにすれば良いと考えるユーザーも多いが、この設定では、パソコンからのログインを防ぐことができるだけで、他のスマートフォンやタブレットからのログインは可能であるため、注意が必要だ。
(横田一輝 ICTディレクター / 2014年)
出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報