翻訳|prepaid card
あらかじめ消費者が金銭を支払ってカードを購入し、商品・サービスの提供を受ける際にそれを代金決済のために使用する支払手段である。プリpreは「まえもって」、ペイドpaidは「支払われた」を意味する。代金前払いカード、料金先払いカードともよばれる。
保有者がカードを用いて支払いをする際に、何を用いて自分の権利の照合を行うかについて、四つに区別される。QUO(クオ)カード、図書カードなど磁気を用いた磁気型、Suica(スイカ)、PASMO(パスモ)などIC(集積回路)チップを用いたIC型、WebMoney(ウェブマネー)、BitCash(ビットキャッシュ)など発行者の管理サーバーに記録された利用者金額とID(認証番号)を用いるサーバー管理型、ビール券、百貨店共通商品券など紙媒体を用いる紙型が存在している。IC型プリペイドカードは電子マネーとも称されている。購入者側には、小銭所持の不要、釣銭不要による決済の迅速、プレミアムがつく場合の割引の魅力、贈答への利用性など、また発行者側には、代金回収の合理化・リスク回避、前払い代金による資金運用、顧客の固定化、カード表(おもて)面の広告利用など、双方にとって利便性があり、キャッシュレス社会の日常消費生活に浸透している。
プリペイドカードに適用される法律として、かつては「前払式証票の規制等に関する法律」(平成1年法律第92号。「前払式証票規制法」と略称)が存在していた。同法はサーバー管理型プリペイドカードを適用対象としていなかったなど、急激に発展している資金決済の実情に合致していなかった。そこで、資金決済サービスのインフラストラクチャー(基盤)整備の充実等への要請から、2009年(平成21)に「資金決済に関する法律」(平成21年法律第59号。「資金決済法」と略称)が制定され、同法内に「前払式支払手段」に関する法規制が設けられたことを受け、前払式証票規制法は廃止された。同法は、資金決済に関するサービスの適切な実施を確保し、その利用者を保護するとともに、サービスの提供の促進を図るために必要な措置を講じ、資金決済システムの安全性、効率性および利便性の向上に資することを目的とする。
プリペイドカードの形態は、発行者および発行者の密接関係者に対してのみ使用できる自家型と、それ以外の(カード発行者以外の者に対しても使用できる)第三者型とに区分され、自家型発行者については内閣総理大臣への届出制とし、第三者型発行者については登録制とするほか、立入検査、業務改善命令などの規制が加重されている。また、いずれの形態でも、発行者の倒産などで使用不可となった場合に備えて前受金保全措置がとられており、基準日未使用残高が1000万円を超えるときは、その残高の2分の1以上の額の発行保証金を供託することが義務づけられる。そのほか、前払式支払手段への利用条件の表示義務、認定資金決済事業者協会(2020年12月時点では日本資金決済業協会、日本暗号資産取引業協会が認定)に関する規定が置かれている。
[福原紀彦・武田典浩 2020年4月17日]
『小塚荘一郎・森田果著『支払決済法――手形小切手から電子マネーまで』第3版(2018・商事法務)』▽『阿部高明著『クレジットカード事件対応の実務――仕組みから法律、紛争対応まで』(2018・民事法研究会)』▽『堀天子著『実務解説 資金決済法』第4版(2019・商事法務)』
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