日本大百科全書(ニッポニカ) 「MIDI」の意味・わかりやすい解説
MIDI
みでぃ
電子楽器やコンピュータ間でデジタル演奏データを伝送するための世界共通規格。電子楽器や電子機器をつなぐコネクター形状などのインターフェース、通信のためのプロトコル、データ形式などが含まれる。Musical Instrument Digital Interfaceの略称で、「ミディー」とも読む。
電子楽器の規格はメーカー各社が独自に作成していたが、それを一定のルールで統一することで、別メーカーの機器どうしを接続してもコントロールできるようにする目的でつくられた。1982年(昭和57)にローランド、ヤマハ、河合楽器製作所、コルグといった日本の電子楽器メーカーが中心になって提唱し、その後、日本のMIDI規格協議会(現、社団法人音楽電子事業協会。略称AMEI:Association of Mucical Electronics Industry)と国際団体のMMA(MIDI Manufacturers Association)によって各規格が制定され、国際的に普及している。
MIDIが扱う情報には、楽器演奏のための音の高さ、大きさ、長さに加えて、音色や各種効果などが含まれる。DTM(Desk Top Music:パソコン上のソフトウェアでシンセサイザーの音源を制御して音楽を制作、演奏するもの)をはじめとするデジタルによる音楽制作や、電子楽器演奏に欠かせない規格であるが、音そのものではなく、あくまで各種機器を制御して演奏や発音などをさせるための情報を取り扱うものである。
MIDIの情報を音にする、いわば楽器として機能するのが規格に対応した音源(シンセサイザーなど)であり、MIDIデータファイルが楽譜にあたる。この二つを組み合わせることで、音楽を演奏する。実際の音楽を録音し、デジタルデータ化したオーディオファイルと違って、再生側にMIDI音源があればMIDIファイル自体は小さくてすむ。そのため、通信カラオケや携帯電話の着信メロディなどにも活用されている。
MIDIの団体商標権を所有し規格の管理を行っているAMEIでは、MIDI規格の普及啓蒙を目的とするMIDI検定試験を毎年行っている。
[編集部]