テンポ

デジタル大辞泉 「テンポ」の意味・読み・例文・類語

テンポ(〈イタリア〉tempo)

楽曲の演奏で、譜面に指定された速度
物事の進みぐあい。「時代のテンポにあわせる」「急テンポ
[類語]速さ速度スピードペースピッチ速力調子音調音律調性音階音程・音高・トーン拍子はく律動乗りリズム調べ

てんぽ

[名・形動ナリ]《「てんぽう転蓬)」の音変化か。「てんぼ」とも》運に任せて成り行きですること。一か八か思いきってすること。また、そのさま。
「―にして銀四匁と札を入れける程に」〈浮・永代蔵・一〉

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精選版 日本国語大辞典 「テンポ」の意味・読み・例文・類語

テンポ

  1. 〘 名詞 〙 ( [イタリア語] tempo )
  2. 楽曲の演奏にあたって譜面に指定された速度のこと。もとは一分間の脈搏、または歩行の数で示されたが、一八一九年ヨハン=メルツェルのメトロノームの発明以後は、その拍数が速度標語として示されるようになった。〔外来語辞典(1914)〕
  3. 物事の進み具合。進行の速度。
    1. [初出の実例]「心のテンポが漸次快速になるにつれて」(出典:三太郎の日記(1914‐18)〈阿部次郎〉一)

てんぽ

  1. 〘 名詞 〙 ( 形動 ) ( 「てんぼ」とも ) 運にまかせて、行きあたりばったりにすること。一か八か、運にまかせて思いきってすること。その場の出まかせでことをすること。また、そのさま。てんぷ。てんぽう。
    1. [初出の実例]「此入は、殊にてんほにありたがり候」(出典:禅鳳雑談(1513頃))
    2. 「余り美しさに、てんぽと思ふて其夜一つ買ふて、抱いて寝たれば」(出典:歌舞伎・傾城壬生大念仏(1702)上)

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「テンポ」の意味・わかりやすい解説

テンポ
てんぽ
tempo イタリア語

楽曲が演奏される速さを意味する音楽用語。イタリア語の原義は「時間」を意味する。17世紀の中ごろまでは、基本となる音符の音価(拍の単位)が人間脈拍(毎分60~80)に一致させられており、そのためテンポは音符そのものによって自動的に決定されていた。しかし、しだいに作曲家はアダージョadagioやアレグロallegro、プレストprestoなどの用語を用いて、自己の楽曲の速さを指示するように変わっていった。この方法は、最初に広くイタリアで始められたため、その後、長い間イタリア語による表示が慣例となった。

 さらに18世紀の前半、メトロノームが発明されたことにより、作曲家はより正確に楽曲の速さを指定することができるようになった。なかでもベートーベンは、好んでこの方法を用いている。メトロノーム表示は、1分間に打つ拍数を示し、♩=72(1分間に4分音符を72回打つ)のように記される。

 非欧米諸国では、音楽の伝承口伝による場合が多かったり、音楽そのものがかならずしも定量的にとらえられなかったりするため、西洋音楽で用いられているテンポの概念に相当するような音楽用語、ないし音楽実践はあまりみられない。

[黒坂俊昭]

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百科事典マイペディア 「テンポ」の意味・わかりやすい解説

テンポ

音楽用語。楽曲の速度のこと。速い・遅いは心理的なものであるが,人間の心臓の鼓動や歩く速さがその根底の規準となっている。絶対的にはメトロノームによって示すことができる。→テンポ・ルバート

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「テンポ」の意味・わかりやすい解説

テンポ
tempo

音楽用語。元来は時,時間の意。音楽作品の速度規定。ラルゴ,アダージョ,アレグロ,プレストなど現在用いられている速度記号は 17世紀にイタリアで採用され,その後広く用いられるようになった。メトロノーム数による速度の規定はベートーベンによって始められた。テンポの選択は一般に音楽解釈上の重要な要素であるため,実際には演奏者や指揮者の曲の解釈によって決定される。

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