日本大百科全書(ニッポニカ) 「ヤマハ」の意味・わかりやすい解説
ヤマハ(株)
やまは
世界最大の楽器メーカー。ブランド「ヤマハ」は早くから知られる。1887年(明治20)医療機械技師の山葉寅楠(とらくす)がたまたま浜松小学校のアメリカ製のオルガンの修理を頼まれ、これに成功したのを手掛りにオルガンの製作を開始したのが始まり。1897年には工場を建て日本楽器製造株式会社を設立、ピアノも製造して大正時代に発展したが、関東大震災による被害、大正末年の大労働争議などで経営危機に陥り、住友から川上嘉市(かいち)(1885―1964)を迎えて経営を立て直した。第二次世界大戦中は軍需生産に従ったが、戦後は楽器生産に復帰。1955年(昭和30)にはヤマハ発動機を設立してオートバイ製造に進出、以後60年代を通して、エレクトーン、ステレオセット、家具、スポーツ用品など製品多様化を進め、海外市場を開拓する一方、日本各地にヤマハ音楽教室を開設、さらに財団法人ヤマハ音楽振興会を設置、音楽教育と音楽の普及に努めるなど、積極的な活動を展開して世界第1位の総合楽器メーカーに成長した。各種楽器、スポーツ用品などの生産と音楽の普及、レクリエーション施設を企業活動の柱とし、2008年(平成20)現在、国内に6工場と、88の関連会社をもつ。1987年日本楽器製造から現社名に変更。2000年3月かねてよりエンジンの共同開発など協力関係にあったヤマハ発動機とトヨタ自動車は業務提携の強化を発表、これに伴いヤマハ、ヤマハ発動機、トヨタ自動車は資本提携を行うことに合意した。資本金285億円(2008)、売上高3156億円(2008)。
[森 真澄]
『日本楽器製造株式会社編・刊『社史 日本楽器製造株式会社』(1977)』