VPN(読み)ブイピーエヌ(英語表記)virtual private network

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「VPN」の意味・わかりやすい解説

VPN
ブイピーエヌ
virtual private network

公衆回線を,専用回線と同様に利用できるよう構築された仮想的なネットワーク。仮想専用網ともいう。かつては電話回線で提供され,一般公衆電話サービス網を,企業の構内専用電話と同様に内線番号だけで通話できるようにしたサービスだったが,今日では外出先から LAN接続したり,LAN同士を結ぶ WANサービスとして提供されている。専用回線を導入するよりも安い費用でネットワークを構築できるため,フレームリレー後継として普及している。通信事業者が提供する回線を複数ユーザーで共同利用する IP-VPNと,回線にインターネットを利用するインターネットVPNの大きく二つに分けられる。IP-VPNは,IPパケットヘッダラベルと呼ばれる転送経路とユーザーのネットワークを識別する情報を付与することで,複数のユーザーを区別する。同じく通信事業者の回線を使うものに広域イーサネットがあるが,これはイーサネットフレームでやりとりするため IP(→TCP/IP)以外のプロトコルでも利用できるのが特徴で,フレームにグループを識別する情報を入れたタグを付与してユーザーを区別する。インターネットVPNは,IP-VPNなどに比べて費用が安くすむのが利点。ただし,不特定多数のユーザーが利用する回線であるため,通信データをカプセル化するトンネリングや,改竄かいざん防止暗号化など,複数の技術を組み合わせた強固なセキュリティが必要となる。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「VPN」の意味・わかりやすい解説

VPN
ぶいぴーえぬ
virtual private network

仮想プライベート・ネットワーク。インターネットなどの公衆回線を認証や暗号化技術を使い、あたかも専用回線のように利用できるネットワークサービス。専用回線より安いコストで構築できる。当初は企業の内線電話などに利用されていたが、現在は社内コンピュータ・ネットワーク(イントラネット)を通信事業者のバックボーン回線やインターネットを経由して利用するサービスも提供されている。インターネット経由なら出先の回線からも自社のイントラネットへの接続が可能になる。一方で、同じ回線を多数のネット利用者が共用するため通信速度の保障がなく、情報が盗まれるなどセキュリティ対策も課題になる。

[乾 達]

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