世界貿易の安全で円滑な推進のため、各国の関税(通関)手続きをそろえ、簡素化し、麻薬密輸などを防止するための関税行政の国際協力機関。英語名のWorld Customs Organizationの略で、日本では世界税関機構とよばれる。1952年に発効した「関税協力理事会を設立する条約」に基づいて設立され、日本は1964年(昭和39)に加盟した。本部をベルギーのブリュッセルに置く。2020年(令和2)7月時点で、世界の184か国・地域が加盟。アメリカ、中国に次いで、日本は世界3位の分担金負担国(2021年度の負担率6.76%)である。事務総局長は歴代、欧米やオーストラリア出身者が務めてきたが、2009年から元財務官僚の御厨邦雄(みくりやくにお)(1953― )が務めている。なお条約上の正式名称は、関税協力理事会(Customs Co-operation Council、略称CCC)である。
通関手続きを円滑にするため世界共通の国際指針を示し、とくに法令遵守が徹底している特定事業者には簡易手続きを認める「AEO(認証事業者)制度」の普及に取り組んでいる。加盟各国の拠出金で関税協力基金(Customs Co-operation Fund、略称CCF)を設け、途上国への技術協力や麻薬密輸防止対策などを進めている。世界貿易機関(WTO)から原産地規則に関する協定の策定作業も受託している。最近は、新興国の経済的な台頭にあわせて、新興国の通関手続きの迅速化、知的財産権を侵害する物品の監視・取締りに力を入れている。
[編集部]
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