X線レーザー(読み)エックスセンレーザー

デジタル大辞泉 「X線レーザー」の意味・読み・例文・類語

エックスせん‐レーザー【X線レーザー】

波長が0.1~10ナノメートル程度のX線領域電磁波を発生するレーザー。高電離イオンのプラズマを用いる方法により3ナノメートル以上のパルスレーザーを発生することができる。1ナノメートル以下のレーザーは原理的に実現不可能と考えられていたが、加速器を用いたX線自由電子レーザーが有望とされ、研究が進められている。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「X線レーザー」の意味・わかりやすい解説

X線レーザー
エックスせんレーザー
X-ray laser

発振波長がX 線の領域にあるレーザー。種々の理論的提案がなされ,研究が行われている。現状では効率が非常に悪く,波長 λ が短くなると励起のためのエネルギーを 1/λ4 に比例して大きくしなければならないこと,共振器での損失が多いなど,光波領域レーザーに比べて技術上の難点が多い。現在実現されているものは,大出力レーザー照射による多価イオンプラズマ中の多価イオンの衝突によって生じる電子励起状態間に反転分布をつくり,レーザー作用を起させるものであり,セレンモリブデンタンタル等を用いた波長 4.5nm~20nmのレーザーである。

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化学辞典 第2版 「X線レーザー」の解説

X線レーザー
エックスセンレーザー
X-ray laser

X線領域で発振するレーザー.通常の共振器によって発生させたX線レーザーはまだ報告されていないが,自然放射増幅による発振はいくつか報告されている.セレン(20.6 nm,20.9 nm),イットリウム(15.5 nm,10.2 nm),炭素(18.2 nm)などがその例である.レーザープラズマ中のイオン種からの発光を用いたX線レーザーの開発も進められている.

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

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