改訂新版 世界大百科事典 「エマニュエル」の意味・わかりやすい解説
エマニュエル
Pierre Emmanuel
生没年:1916-84
フランスの詩人。バス・ピレネーに生まれる。ピエール・ジャン・ジューブの強い影響を受け,カトリックの立場から現実を人間そのものの危機としてとらえて,1940年に処女詩集《悲歌》を発表。第2次大戦でフランスがドイツに占領されると対独レジスタンスの地下出版に協力しながら,《オルフェの墓》(1941),《汝の守護者とともにたたかえ》(1942)などの力作をあいついで刊行した。詩人には,自己の苦悩から出発して存在の根源を幻視する予言者的な役割があるとする彼は,戦後も《ソドム》(1946),《バベル》(1952)などの大作を出し,叙事詩風の格調の高い詩風で戦後期のフランス詩を代表する一人となっている。
執筆者:安藤 元雄
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報