テーア(英語表記)Albrecht Daniel Thaer

改訂新版 世界大百科事典 「テーア」の意味・わかりやすい解説

テーア
Albrecht Daniel Thaer
生没年:1752-1828

ドイツ農学者。近代農学の始祖といわれる。ハノーファー近くのツェレに生まれ,初め医学を学び医師としても名声を博したが,しだいにその関心は農業の理論と実践に集中した。ベルリン大学新設に際し農学講座教授。著書イギリス農業概論》(1798-1804)は,今日でもイギリス農業史の優れた文献である。また《合理的農業の原理》(1809-21)は,経済論,土壌論,施肥・土地改良論,作物栽培論,養畜論からなり,冒頭の営利的農業の宣言にみられるような資本制的農業経済学の重要な諸原理とともに,科学的な農学の体系化を果たすことによって,官房学のくびきから農学を独立させた名著で,その影響は当時のヨーロッパ全体に及び,9ヵ国語に訳された。また高等農学教育に専念し,その創立になるメークリンMöglin農業アカデミー(1806設立)はのちの農科大学の原型となった。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「テーア」の意味・わかりやすい解説

テーア
てーあ
Albrecht Daniel Thaer
(1752―1828)

ドイツの農学者、財政学者。宮廷医師の子としてニーダーザクセンのツェレに生まれる。ゲッティンゲンで医学を学び、故郷に帰り父を助け、父の死後その地位を継いだ。医業に満足できなくなったテーアは、農場経営の実務と農業生産を高めるための科学的研究に没頭した。1802年、農業者のための講義を始め、04年プロシア宮廷の秘書官、ベルリン科学アカデミーの会員となった。同年オーデル川沿いのメグリンへ移住。10年ベルリン大学の財政学教授。テーアの活動範囲は広く、農業立法からヒツジメリノー種の改良にまで及んだ。彼は、土中腐植質の増加が農作物収量を高める基本的条件と考え、腐植説主唱者となった。主著に『イギリス農業経済序説』Einleitung zur Kenntnis der englischen Landwirtschaft(1798~1804)、『合理的農業の基礎』Grundzüge der rationellen Landwirtschaft(1809~12)がある。

[渋谷寿夫]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「テーア」の意味・わかりやすい解説

テーア
Thaer, Albrecht

[生]1752.5.14. セレ
[没]1828.10.26. メグリン
ドイツの農学者。イギリスの農業を研究し,三圃式農業から輪栽式農業への移行と,イギリス農業経営の総合性と企業性のドイツへの適用を論じた。主著『イギリス農業入門』 Einleitung zur Kenntnis der englischen Landwirtschaft (3巻,1798~1804) ,『合理的農業原論』 Grundzüge der rationellen Landwirtschaft (4巻,09~21) 。

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367日誕生日大事典 「テーア」の解説

テーア

生年月日:1752年5月14日
ドイツの農学者
1828年没

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世界大百科事典(旧版)内のテーアの言及

【農学】より

…このような当時のイギリス資本主義農業の動きを理論づけ,ノーフォーク式農法を積極的に推奨したのは,タルにつぐA.ヤング(1741‐1820)であった。 やや遅れて,先進地イギリスのノーフォーク式農法をとりいれたドイツでは,A.D.テーア(1752‐1828)が,《合理的農業の原理》を著し,〈農業を対象とする学問分野は,生産技術と経営の2分野があるが,終局的には多収をあげて最大利潤を得ることを目的とする〉と述べた。テーアは近代農学の祖といわれ,第2次大戦後もしばらくは日本の農業経営学に影響を及ぼしていた。…

※「テーア」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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