翻訳|piranha
硬骨魚綱コイ目カラシン類のうち一群の淡水魚の総称。南アメリカ産で、強肉食性で獰猛(どうもう)な魚を含め約20種があり、セラサルムス属Serrasalmus1属、あるいは数属に分類され、カラシン科に含められるか、あるいはカラシンとは別科のセラサルムス科に分類される。体は扁平(へんぺい)で体高が大きく、腹中線はキール状で鋭い稜鱗(りょうりん)で縁どられている。両顎(りょうがく)と顎歯は強大である。顎歯は一般に三角形で縁辺がかみそりのように鋭く、上下の歯が交互にかみ合わさっており、きわめて鋭利に肉をかみ取ることができる。全長は最大45センチメートルに達する。
ピラニア類はウマや人間をも襲う「人食い魚」として有名であるが、かなり誇張された伝聞も多く、人間にとって危険なものは3、4種である。危険なピラニアは大群をなして移動する種類で、まず何尾かが獲物を傷つけると、その音や血のにおいなどによって群れが狂奔状態となって獲物を食い尽くす。アマゾン川やオリノコ川流域に広く分布するレッドピラニアSerrasalmus natteri、それより分布が狭いセラサルムス・ピラヤS. piraya、セラサルムス・テルネツィS. ternetziなどがそれであり、漁網を食いちぎるといった害も与える。
熱帯魚として飼育されているものには前記のレッドピラニアやスポッテッドピラニアS. rhombeusなどがある。水槽中ではむしろ神経質な魚であるが、網ですくったときなどに歯で指を切ることもあるので注意を要する。アメリカでは輸入が禁止されている。
[多紀保彦]
南アメリカ産の淡水魚。コイ目カラシン亜目セラサルムス科セラサルムス属Serrasalmusのうちで貪食(どんしよく)な数種を指す。体高が高く,あぶらびれがあり,両あごに鋭く強大な歯(きば)が並ぶ。日本で一般に知られている種類はレッド・ピラニアS.nattereri(英名red piranha)でアマゾン川のほぼ全域に広く分布する。集団で行動し,川を渡る人間や家畜を襲って殺傷することも知られている。日本へも観賞魚として輸入されて飼育され,大型水槽内で繁殖した記録もある。飼育魚はふつう全長15~20cm,野生では30cmに達する。このほかピラニアと呼ばれる魚にはS.terneti(パラグアイ川産)やS.notatus(オリノコ川流域産)など数種が知られ,いずれも形態,生態ともに酷似している。
ピラニアが日本に紹介され一般に有名になったのは記録映画《緑の魔境》が上映されて以来で,川に入ったウシがピラニアの大群により短時間に骨を残すだけに食害されるシーンによると思われる。
執筆者:中村 守純
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
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出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
…じょうぶで飼いやすく,眼はなくてもよく泳ぎ,餌もとる。(h)ピラニアNatterer’s piranha∥Serrasalmus nattereri 南アメリカのアマゾン川および他の水系に産する。全長30cm。…
※「ピラニア」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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