日本大百科全書(ニッポニカ) 「ルーサー」の意味・わかりやすい解説
ルーサー
るーさー
Walter Philip Reuther
(1907―1970)
アメリカの労働運動家。ウェスト・バージニア州ウェーリング生まれ。父はドイツ系移民で社会主義者。1933年ドイツと当時のソ連を訪れ、ソ連では2年間ゴーリキー自動車工場で労働。ファシズムへの憎悪と共産主義に対する幻滅を抱いて1935年に帰国、ゼネラル・モーターズ(GM)に入社。全米自動車労働組合(UAW)の組織活動に専心し、1936~1937年のGM座り込みストを指導。1946年UAW会長、産業別組合会議(CIO)副会長に就任。1949年CIOから共産党系組合を追放。1952年CIO会長になり、アメリカ労働総同盟(AFL)との合同を推進。1955年合同によりAFL-CIO副議長。1963年(昭和38)訪日し、総評、同盟と賃金研究センターの設置を協定。1968年UAW指導者として運送業労働組合(チムスターズ・ユニオン)とともにAFL-CIOから脱退。反共的な立場から資本主義体制の弊害を告発し、インフレ、公害、福祉などの問題と取り組んだ。1970年5月飛行機事故で死亡。
[河内信幸]