改訂新版 世界大百科事典 「九柱戯」の意味・わかりやすい解説
九柱戯 (きゅうちゅうぎ)
ボウリングの原型といわれる室内競技。目標のピンが菱形状に9本並んでいることからナインピンズninepinsと呼ばれ,ヨーロッパでは現在も愛好者が多い。古代から中世のヨーロッパ諸国で流行した1~17本のピンを倒すローマ式ボウリングを,ドイツの宗教改革家ルターが9本のピンに統一したルールを作ってさらに普及した。従来の戸外にかわって屋内に板張りレーンを敷き,トックリ型のピンを並べ木製ボールをころがす。イギリスではスキットルskittle,オランダ,ドイツでケーゲルKegel,フランスでキレquillesと名付けられている。1626年,オランダ移民によってアメリカ大陸へ持ち込まれ,上陸地点のニューヨークを中心に各地へ広まったが,酒場内で賭博の対象にされ始め,1841年コネティカット州を皮切りに各州で禁止法が成立した。取締りをのがれるために,75年ニューヨークの愛好者団体の手で,ピンを10本とした新しいルールのテンピン・ボウリングが考案され,これが現在のボウリングの先駆けとなった。現在,国際柱技者連盟(FIQ)に独立したナインピンズの部門があり,4年ごとの世界選手権大会ではアスファルト,シェーレ,ボーレの3種目に分けて競技を行っている。
→ボウリング
執筆者:中森 康友
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報