唐才子伝(読み)とうさいしでん(その他表記)Táng cái zǐ zhuàn

改訂新版 世界大百科事典 「唐才子伝」の意味・わかりやすい解説

唐才子伝 (とうさいしでん)
Táng cái zǐ zhuàn

中国,唐代の文学者だけの伝記集。10巻。元の西域人,辛文房撰。278人の伝記のほか,120人の伝記が関係する文学者に付録されている。1304年(大徳8)に完成したもので,誤りもあるが,正史には見えない小詩人の伝記は貴重である。本書は,中国では明代に散逸してしまったが,日本室町時代に復刻された五山版が,1802年(嘉慶7)に《佚存叢書》の一種として刊行され,中国に逆輸入されて知られるようになった。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「唐才子伝」の意味・わかりやすい解説

唐才子伝
とうさいしでん

中国、唐詩人の伝記集。10巻。元(げん)の西域(せいいき)人の辛文房(しんぶんぼう)撰。1304年(大徳8)に成る。収録の詩人数は、6人の天子と鬼(亡霊)を除けば、278人について項目をたて、そのなかに他の120人を付載して、総計398人に上る。新・旧唐書(とうじょ)のほか諸書から資料を集めて、各詩人の略伝著述詩評逸話などを記す。現在では多くの誤りが指摘されているが、唐詩人の伝記研究の重要な文献の一つに数えられる。中国では明(みん)代中期以降、完本が失われていたが、日本に元(げん)版をもとにした五山版の完本が伝存し、清(しん)末に中国に逆輸出された。

[佐藤 保]

『布目潮渢・中村喬著『唐才子伝之研究』(1972/改訂版・1982・汲古書院)』

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