大徳(読み)だいとく

精選版 日本国語大辞典 「大徳」の意味・読み・例文・類語

だい‐とく【大徳】

〘名〙 (「たいとく」とも)
① 偉大な徳。大きな徳。立派な徳。
万葉(8C後)五・沈痾自哀文「天地之大徳曰生、故死人不生鼠
※西国立志編(1870‐71)〈中村正直訳〉二「抑も正直忠厚は人の性行に於て最も尊ぶべきの大徳なり」 〔詩経‐小雅・谷風〕
② 仏語。仏に対する呼称。また、長宿の僧をいい、徳の高い僧をもさしていう。高徳の僧。転じて一般に、僧。だいとこ。
※続日本紀‐天平一五年(743)正月癸丑「天皇敬諮四十九座諸大徳等
破垣(1901)〈内田魯庵〉四「某大徳(ダイトク)の仏教道徳談と」 〔大智度論‐二〕
③ 大きな恩恵。めぐみ。大きな利益。
サントスの御作業(1591)一「イッタンノ タノシミ ニ ヒカレテ taitocuuo(タイトクヲ) ウシナイ タマウナ」
聖徳太子が、推古天皇一一年(六〇三)に制定した冠位十二階の一つ。第一番目の位。
書紀(720)推古一一年一二月(岩崎本訓)「始めて冠の位を行ふ。大徳(音読)・小徳」
金持。裕福な人。有徳(うとく)

だい‐とこ【大徳】

〘名〙 (「だいとく(大徳)」の変化した語) =だいとく(大徳)
蜻蛉(974頃)上「忌むことうけ給ひし日、あるだいとこの袈裟をひきかけたりしまま」
※宇治拾遺(1221頃)一五「極楽寺の僧、なにがしの大とこやこれにあると尋給ふに」

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デジタル大辞泉 「大徳」の意味・読み・例文・類語

だい‐とこ【大徳】

だいとく(大徳)2」に同じ。
「いと尊き―なりけり」〈若紫

だい‐とく【大徳】

《「たいとく」とも》
偉大な徳。りっぱな徳。
仏のこと。また、高徳の僧。転じて、一般に、僧。
金持ち。有徳うとく大徳人

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普及版 字通 「大徳」の読み・字形・画数・意味

【大徳】だいとく

すぐれた徳。〔礼記、学記〕大は官せず、大ならず、大信せず。

字通「大」の項目を見る

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「大徳」の意味・わかりやすい解説

大徳
だいとく
bhadanta

元来,インドで高徳の人のことをいい,釈尊に対する呼びかけにも用いられた。律には,年長の比丘の称とある。日本では,徳の高い清僧を大徳と呼んでいる。

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